ジョニー・デップの評判が「ガタ落ち」な実情 はまり役のジャック・スパロウも降ろされた

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現在、デップと訴訟し合っている元ビジネスマネジャーによると、デップが月に使うワイン代は3万ドル、ボディガード代は月15万ドル、プライベートジェット代は月に20万ドルとのこと。

ビジネスマネジャーが必死に止めても借金をしてさらに家を買い、南フランスの家を手放すように言っても手放さない。訴訟となったのも、ビジネスマネジャーが貸した金をデップが約束どおり返さなかったことから、契約に従い、担保だった家を売って返済してもらおうとしたのが発端である。どちらが悪いのか、まだ裁判の決着は出ていないが、こういう話にいい印象をもたらさないのは、言うまでもない。

ようやく「復活の兆し」が見えてきた?

だが転機は、すぐそこに来ているかもしれない。彼の次回作は、今月公開予定(日本では11月23日公開)の超大作『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』。『ハリー・ポッター』のスピンオフであるシリーズの2作目で、ヒットが期待されているのだ。

デップは助演ではあるが、役柄は英語版の副題(『The Crimes of Grindelwald』)にも出てくるグリンデルバルドで、いくつかあるポスターの中には、彼が中心に立つものもある。お得意の変身ぶりも発揮できるこの役で、観客は、彼ならではの魅力を再確認してくれるのではないだろうか。

だが、日本の観客としてはもっと気になる作品がある。来年、日本でロケ開始が予定されている『Minamata』だ。デップが演じるのは、暴力を受け、カメラを壊され、片目を失明させられても、水俣病の取材を続けてはその実態を発表したアメリカ人写真家ウィリアム・ユージン・スミス。実在の勇敢な人物を描くものとあって、うまくいけば、4度目のアカデミー賞候補入りにつながるかもしれない。

デップは、現在55歳。女優と違い、男優には厳しい賞味期限がないが、それでも歳を取るにつれ、映画の中で演じる人物像は、変わっていくものだ。デップのジャック・スパロウをまだ見たかったという人は多いに違いないものの、今、彼はきっと変化の流れの中にいたのである。

『パイレーツ』に出る前と出てからに分かれていた彼のキャリアは、これから、『パイレーツ』を去った後のステージを迎えることになった。それはいったい、どんなふうに展開していくのだろう。

彼のことだから、また、誰もがびっくりするような役をやってくれるのではないだろうか。ジャック・スパロウをいちばん代表的なキャラクターと呼んでしまうのは、まだ早いかもしれない。

猿渡 由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト

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さるわたり ゆき / Yuki Saruwatari

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒業。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場リポート記事、ハリウッド事情のコラムを、『シュプール』『ハーパース バザー日本版』『バイラ』『週刊SPA!』『Movie ぴあ』『キネマ旬報』のほか、雑誌や新聞、Yahoo、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。

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