これだけノイズキャンセリング機能が向上しながらも、実は音質も向上している。これまでノイズキャンセリングの信号処理と音楽再生部分は機能的に内部で分離されていたが、今回は新規に開発した信号処理プロセッサー内部にアンプまでを搭載し、1つの処理チップ内で完結させることで音質をより厳密にコントロールしている。
頭部形状へのフィットもより突きつめ、イヤーパッドだけではなくバンドも含めた最適化が行われており、たとえば飛行機内でヘッドフォンを装着したまま就寝する際にもズレにくくなった。
30時間という電池駆動時間は変わらないが、たった10分の充電で5時間再生できるクイックチャージは大きな改善と言えるだろう。価格は3万9880円(税別)と、ライバル製品と同等に設定されている。
体験しなければわからない“アクティブな耳栓”
一方、「BOSE NOISE-MASKING SLEEPBUDS」は、1000Xシリーズの“正反対”にある製品であるが、睡眠の質を高めるという本来の目的でも有益なうえ、集中力を高めるという副次的な目的でも、好みによってはヘッドフォンよりも高い効果を感じられる製品だ。
ただし、単に機能を聞いただけでは、そのよさは想像できないかもしれない。
BUDSとは耳栓のことだが、耳栓はその効果を高めようとすると装着感がどうしても落ちてしまう。きつめのフィット感のほうが効果的だが、できれば装着感は軽くありたい。耳型を取って作成するカスタムメイドの耳栓もあるが、シリコンゲルなどを用いるため経年変化や汗などの影響での劣化は免れない。
そこでボーズは耳にねじ込まず、軽い装着感のイヤーチップ、耳の中に収まるコンパクトなドライバユニットを持つ“ホワイトノイズを再生する”電子的な耳栓を開発した。それがNOISE-MASKING SLEEPBUDSだ。
ホワイトノイズとは、低い周波数から高い周波数まで均一に音がちりばめられた音のことをいう(“白色”はあらゆる周波数の光の集合体であることから、この名前で呼ばれるようになった)。
“ノイズマスキング”という名前の通り、ホワイトノイズを発することで周囲の音を聞こえにくくし、イヤーチップの遮音効果と組み合わせて耳栓効果を得るという製品である。ヒトはある音を聴いているとき、同じ周波数帯のより小さな音を知覚しにくくなる。これをマスキング効果というが、このマスキング効果を使って軽快な装着感と高い耳栓効果の両立を目指した、“アクティブな耳栓”というわけだ。
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