最新ヘッドフォンが「集中と安眠」を生むワケ 音を消すソニー、音で癒やすボーズ

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このような説明だけでは、なかなかイメージしにくいかもしれない。なにしろ本機は税別3万円と耳栓としてはかなり高価な製品である。しかし、実際に体験してみると印象が変わる。

もっとも、厳密なホワイトノイズは「サーッ」っという独特の音(アナログ放送時代、放送終了後のテレビから出てきたあの音を知っている人もいるだろう)であり、快適とは言い難い。

しかし、ボーズはバランスよく心地よい音声コンテンツにまとめた。いびき、生活やオフィス内での暗騒音、犬の鳴き声や窓から入ってくる交通騒音などを研究し、それらの周波数的な特徴をとらえたうえで、効果的に“マスキング”する。

“音で静寂を感じる”独特の感覚と違和感のない装着感

森林をそよぐ心地よい風や木の葉、あるいは川のせせらぎ、遠くで聞こえる滝の音、ビーチに広がる静かな波の音、たき火が燃える音、雨音など睡眠時に向いているコンテンツ9種類と、リラックスをもたらす癒やし系BGMが1種類、最初からインストールされている。

さらに、先日のアップデートでさらに新しいコンテンツがダウンロード可能になった。アップデートでは主に睡眠用のノイズマスクを主眼に置いたコンテンツに加え、仕事に集中したい際などにリラックスとフォーカスをもたらすコンテンツを中心に拡充されている。

周囲の状況に応じて音量を調整(周りがうるさい環境なら、本機の音量をやや上げ、静かな場合は下げる)することで、人それぞれ、そのときの環境に応じて適切な効果が得られるだろう。筆者自身、1週間ほど自宅で、また海外出張先のホテルでと、さまざまな環境で使ってみたが、睡眠による回復効果が高まったように感じている。

そして、実はもっとも役立ったのが“目覚まし”機能だ。

目覚ましの設定画面。自分に合った設定をカスタマイズすることが可能(筆者撮影)

目覚ましの時間をセットしておくと、装着者の耳元だけで起床のための音を出してくれる(音は7種類から選択可能だ)。パートナーとの起床時間が異なる場合などにも気兼ねせず、アラーム音を鳴らせるのはうれしいうえ、目覚まし効果もより高いと感じた。

ノイズキャンセリングヘッドフォンと利用シーンが重なる場面も多いが、飛行機内などのより大きなノイズの中では、本機はあまり役に立たない。基本的にはさほどうるさくない環境で、より自然に近い装着感で楽しむ耳栓だ。

睡眠時にはもちろんだが、集中して仕事をするとき、それも数時間、あまり動かずにジッと作業を続けねばならないときに役立つだろう。ソニーの1000Xシリーズは、外界から遮断されるように自分の世界を作れるが、ボーズのSLEEPBUDSは周囲との接点を維持しながらも刺激を緩和してくれる緩衝材のような製品である。

いずれもビジネスパーソンが自らの能率を高めるために、オススメしたい製品だ。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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