大井町線に「指定席車」を導入する東急の思惑

田園都市線の混雑対策のほか「品川」も意識

東急が大井町線への座席指定サービス導入を発表したのは今年3月末、今回「Qシート」の車両を組み込んだ6020系がデビューする直前だった。7両編成のうち1両とはいえ、登場後わずか半年で車両を入れ換えるのは異例だ。さらに、6020系の導入発表時には座席指定サービスに関しての公表はなかったため、やや唐突な印象もあった。

一般車両として使う際のロングシート状態。この場合は指定料金は不要だ(記者撮影)

急きょ決まったかのようにも思える座席指定サービスの導入だが、担当者によると検討は数年前から行っていたという。ただ、具体的に決定したのは6020系の設計開始より半年遅かった。

大井町線急行の7両化と増発を急ぐため、まず6020系を今春のダイヤ改正に合わせて投入し、指定席用車両の完成後に1両を置き換えられるよう準備していたという。

置き換えた車両は、現在増備を進めている田園都市線の新型車両2020系に組み込んだ。車両の設計は共通のため、車内に液晶ディスプレーを増設した以外は特に改造などはしておらず「無駄は出ていない」と車両担当者は話す。

「大井町線シフト」を推進

大井町線は、JR京浜東北線と接続する大井町から溝の口まで約12キロを結ぶ路線。東急が座席指定車両を導入するのは、田園都市線方面への帰宅時に座れる選択肢を提供することで、「快適な通勤ルート」としての同線の魅力を高めたいとの狙いがある。

座席にはコンセントとカップホルダーがある(記者撮影)

同社は早朝時間帯の利用者にクーポンを配布するなど、各種の施策でオフピーク通勤を促す取り組み「グッチョイモーニング」の展開などでラッシュの混雑緩和策を推進しているが、田園都市線内から都心へ向かう通勤客を大井町線に誘導する施策もその1つだ。

東急は2008年に急行の運転を開始し、翌2009年には二子玉川から田園都市線の溝の口まで列車の運行区間を延長。田園都市線内から都心へのバイパス路線としての機能強化を図ってきた。

その結果、2007年度に約40万1400人だった同線の1日平均利用者数は、2017年度には約50万3000人にまで増加。一方で、田園都市線のピーク時混雑率は同期間に198%から184%へ低下しており、大井町線の輸送力増強と利用者誘導策は一定の効果を生んできたとみられる。

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