2018年、シモキタはこう変わる! NYのハイラインを手本に“交流の舞台装置"へ

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NYでは廃線跡地が観光名所に再生

この再開発計画を説明するに当たって保坂区長がしきりに引き合いに出したのが、米国ニューヨーク市を走っていた貨物線の跡地を空中緑道として再生したハイラインだ。

1980年に廃線となった高架式の貨物線は長年放置され、荒廃していた。しかし、1999年に地元住民が中心となり、パブリックスペースとして再利用しようという動きが起こった。紆余曲折を経て、それから10年後、かつての線路や枕木と移植された草木が混然一体となった公園として整備された。

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下北沢駅は周辺の商店街への回遊性を意識した設計になる

保坂区長は「世界に文化を発信するシモキタという街に、新たな価値を付与したい」と、意気込みを語る。

とはいえ、シモキタの再開発計画はすんなり進んだわけではない。

2011年2月に東京都、世田谷区、小田急の間で線路跡地利用に関する計画が取りまとめられた。だが、同年4月に就任した保坂区長は、東日本大震災を踏まえて、防災に重点を置いた独自案を公表。計画は暗礁に乗り上げた。その後の複数回にわたる折衝を経て、立体広場の設置や小広場の面積拡大など世田谷区の要望を何点か取り入れた形で、今回の修正計画が作られた。

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保坂区長(左)と山木社長は、この先も手を携えてシモキタ再開発に邁進できるか

山木社長は「世田谷区とは基本的な部分では相違はなかった」と協調姿勢を示す。

ただ、ハイラインをしきりに引き合いに出す保坂区長に対し、山木社長は「ハイラインは廃線の上に作られたが、シモキタは“生きている線路”の上に作るもの」と漏らすなど、微妙な感情のしこりものぞかせる。

今回まとまったのは、あくまでも全体のおおまかな構想。今後のスケジュールについて、山木社長は「複々線化が完了する2018年度が一つの目安となる」と語る。事業費などの議論は、これから本格化することになる。

過去の遺恨を胸の奥にしまい、世田谷区と小田急は共同歩調でシモキタを生まれ変わらせることができるのか。シモキタ一帯の再開発は、まだ緒に就いたばかりだ。

猪澤 顕明 東洋経済 記者

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いざわ たかあき / Takaaki Izawa

1979年生まれ。慶應義塾大学卒業後、民放テレビ局の記者を経て、2006年に東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、ニュース編集部などに在籍。2017年に国内のFinTechベンチャーへ移り、経済系Webメディアの編集長として月間PVを就任1年で当初の7倍超に伸ばす。2020年に東洋経済へ復帰、「会社四季報オンライン」編集長に就任。2024年から「東洋経済オンライン」の有料会員ページを担当。

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