ソニー「アイボ」は次の飯のタネになれるか?

担当役員が語る「ベンチャー投資」の狙い

ソニーは2018年1月に犬型ロボット「アイボ」を復活させるなど、新規事業としてAI、ロボット領域の開発を加速させている(撮影:尾形文繁)
東京タワーの住所(港区芝公園4-2-8)は「けんぶつ・このは・はかり」、六本木ヒルズ(港区六本木6-10-1)なら「だんせい・いわし・ごつい」――。
これまで住所は市町村と番地で表現してきたが、2013年創業のイギリスのベンチャー「what3words(ワット3ワーズ)」が開発したシステムを使えば、世界のどんな場所でも3つの簡単な単語で位置情報を示すことができる。
ワット3ワーズは音声入力に強みを持ち、ドイツの自動車大手ダイムラーが出資し、「メルセデス・ベンツ」の新しいカーナビシステムに採用するなど、大企業や自治体との提携も進んでいる。
ソニーは11月6日、自社で組成したベンチャー向けの投資ファンド(コーポレート・ベンチャー・キャピタル/CVC)、「ソニーイノベーションファンド」を通じてワット3ワーズに出資をすると発表(金額は非公開)した。
同ファンドは2016年に規模100億円で設立され、これまでに2足歩行ロボットを手掛けるアメリカの「Agility Robotics(アジリティー・ロボティクス)」 、触覚を感じられるゲームコントローラーなどを開発する「H2L」など、AI(人工知能)、ロボット、IoT関連分野を中心に、ユニークな事業を運営するベンチャー計30社に投資してきた。

ソニーの業績は2年連続で過去最高純利益を更新する見込みと好調だ。アイボは、ソニーが業績不振から立ち直り、再びソニーが革新的な開発をしていくという「ソニー復活の象徴」。発売開始半年で出荷台数2万台を突破するなど順調な滑り出しだが、一方でAI・ロボティクス事業が次世代のソニーを担う規模にまで育つにはまだ時間がかかりそうだ。
また、稼ぎ頭であるゲーム事業は約25年前、半導体事業は約50年前の「イノベーション」の産物で、ここ最近、将来を担うような事業は出ていない。自社のベンチャーファンドを通じて、再びイノベーションを起こすことはできるのか。ソニーイノベーションファンドを統括する、御供俊元(みとも としもと)執行役員に聞いた。

狙いはAIとロボティクスの推進

――ソニーイノベーションファンドの投資先は、AIやロボット関連のベンチャーが多くを占めます。なぜでしょうか?

2016年に再参入を発表した、AI・ロボティクス事業の展開を加速させることが第一の目的だ。企業がオープンイノベーションを推し進めたいのがどのような事業領域なのか、よく考えてほしい。

御供俊元(みとも としもと)/ ソニー執行役員。知的財産、事業開発プラットフォーム担当

Startup Acceleration部門長 。ソニー入社後、 1993年にソニー・コーポレーション・オブ・アメリカに配属。「ウォークマン」の特許侵害訴訟など知的財産分野で活躍。2013年6月に業務執行役員SVP。2016年から現職。(撮影:田所千代美)

たとえば垂直統合型のテレビ事業のように、他社と差別化ができていて、市場シェアの10%程度を取れればビジネスが成り立つならば、自社のファンドを通じて投資をする必要はない。

もしシナジーがあるベンチャーだったら、マイノリティー出資などせず、買収してしまえばいい話だ。

一方で、1社で開発できるものに限界があり、そもそも市場のパイを増やさないことにはビジネスが成り立たない領域では、外部のさまざまな知見を得られる自社のファンドを作って、他社と一緒に盛り立てることに意味がある。

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