巨額下方修正、広がるパナソニックショック、想像を絶する環境の厳しさ

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巨額下方修正、広がるパナソニックショック、想像を絶する環境の厳しさ

パナソニックは、今2009年3月期業績見通しを大幅に下方修正した。下期に入ってから産業・民生分野とも収益悪化が深刻で、営業利益は従来計画を2200億円下回る3400億円(前期比35%減)の見通し。営業外で追加の構造改革費用を1300億円、株式評価損も600億円計上するため、最終利益は従来の3100億円に対して300億円(前期比89%減)にまで落ち込む見通しだ。「東洋経済オンライン」は、今期予想を修正値に合わせ、来10年3月期予想を表記のようにする。

売上高は8.5兆円と計画を7000億円下回る。修正に当たって会見した上野山実・財務担当取締役は「激しい環境変化により、当社も販売減と収益悪化が顕在化している。各事業部に最新状況を踏まえた数字を出させたところ、想像していた以上に販売の落ち込みが大きかった」とコメント。車載関連や電子部品、FA等の産業用分野は第2四半期(7~9月)に失速し始め、秋以降は不振度合いが深刻度を増した。

さらにデジタル家電を始めとする民生分野も下期は急激に悪化。「特に海外が厳しい。個人の消費マインドが落ちているうえ、小売店の資金繰り悪化の影響も出ている。販売数量の減少に加え、価格低下が予想以上に大きい」(上野山取締役)。中でも厳しいのが単価下落の大きな薄型テレビで、同事業は下期の赤字転落が確実な情勢だ。

急激な業績悪化を受け、同社は追加リストラ計画を策定。車載関連の神奈川・藤沢工場や電子部品の岐阜工場など、不採算事業の生産拠点統廃合を柱とする構造改革を進める。また、当初5300億円を計画していた設備投資も4800億円へ減額。来期の設備投資も見直す方向で、来期中の稼動を予定する2つのフラットディズプレーパネル新工場(尼崎のプラズマ、姫路の液晶)は、立ち上げ時の規模縮小を余儀なくされそうだ。

もともと同社は、年末商戦の状況を見て業績予想を見直すとして、10月末の4~9月期発表時点では敢えて年間の増益予想を変更していなかった。しかし、過去最高益となった4~9月期も、第2四半期だけを見れば大幅減益だった。このため、年間業績見通しの下方修正自体は時間の問題だったが、最新状況を織り込んだ今回の減額幅は予想以上に大きく、株式市場に大きな波紋を広げている。

電機業界屈指の収益力を誇るパナソニックによる大幅下方修正は、想像を絶する環境の厳しさを如実に物語る。他の家電メーカーは4~9月期決算発表時点で一足早く減額修正に踏み切っているが、当時の想定よりも販売環境は厳しくなっており、ソニーやシャープは、再度の業績下方修正が確実視されている。
(渡辺 清治)


《東洋経済・最新業績予想》
(百万円)    売 上  営業利益 経常利益  当期利益
◎本2008.03  9,068,928 519,481 434,993 281,877
◎本2009.03予 8,500,000 340,000 100,000 30,000
◎本2010.03予 8,500,000 280,000 240,000 140,000
◎中2008.09  4,343,711 228,154 203,296 128,492
◎中2009.09予 4,250,000 130,000 110,000 65,000
-----------------------------------------------------------
         1株益¥ 1株配¥
◎本2008.03  132.9 35 
◎本2009.03予 14.5 45 
◎本2010.03予 67.6 45 
◎中2008.09  61.6 22.5 
◎中2009.09予 31.4 22.5 

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