ホリエモンが、もしメディアの経営者だったら 堀江貴文氏インタビュー(下)
僕だったら東京MXを買う
堀江:でも今、面白い現象が起きています。深夜枠って制作委員会方式で買えるのです。深夜枠を買って、番組を安く作って流して、それをDVD化したりして回収している。作った番組を地方局に「おカネはいらないから流してくれ」と言うと、地方局はコンテンツがタダで手に入るので流しますよね。そうすると、DVDがすごく売れるらしいのです。
だから、ネットと融合する必要もないというか。東京MXとかを買って、いいコンテンツを作ることができると、すごいことになるかもしれない。僕だったら今、東京MXを買いますね。
――最近、MXは面白くなってきていますよね。
堀江:MXはすごい新境地を開拓しましたよ。「5時に夢中!」って、夜の商売の人にとっての「あさイチ」みたいな番組です。
――マツコ・デラックスさんもあの番組から出ました。
堀江:ミッツ・マングローブさんもそう。僕、ミッツさんと初めて会ったの「5時に夢中!」ですよ。テレビ局はやっぱりMXがいちばんいいポジションにいると思います。
――では、堀江さんだったらMXを買って、コンテンツに投資をしまくり、地方局に売る、もしくはタダで配る、と。
堀江:もう何百億円とかけて、いいコンテンツをバンバン投入しますよ。もちろん、オンライン動画配信などもマネタイズしていきますが、いちばん大事なのは月額会員を獲得すること。だから、スマートフォンアプリなどで徹底的に顧客誘導して、月額課金に持っていく。課金しないとできないような参加型のコンテンツを作ります。
僕が当時、それをテレビ局に説明したら、「凡庸なアイデアしか出てこない」と言われましたけど、どうして凡庸じゃダメなのか。凡庸なものをたくさんやればいいのです。
今だったら、番組中にアンケートやクイズを出して、スマートフォンでリアルタイム投票して、5秒後に画面に結果を出すとか、ニコニコ動画もやっているようなことを当たり前にやらなければいけないと思うのですが、やっていないですよね。そういう通り一遍のことの積み重ねでいいのに、いまだにやっていないのが信じられない。
――オンラインDVDレンタル事業を手掛ける米国のネットフリックス(関連記事:加入者3000万人!急成長するネットフリックス)は、100億円も投資して、自社でいいドラマを制作してネット配信しています。そういう企業が日本でも出てくると面白い。
堀江:僕らはそれをやろうとしていたわけですよ。オンラインDVDレンタルサービスって、日本では僕らがいちばん最初に始めましたからね。「ぽすれん」というサービスを。今はゲオに売却されましたが。同時期にツタヤ(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)が「ディスカス」を始めました。
今、いちばんネットフリックスに近い位置にいるのは、DMM.comですよ。まだアダルトがメインですけど、最近、独自制作のコンテンツで「艦隊これくしょん~艦これ~」というのがはやっています。まあ、自衛隊の艦隊が美少女キャラになっているという、僕にはよくわからないコンテンツですけど、「艦これ」はすごいです。バズってますよ。DMMの会長がやっぱり先進的なのです。