上越新幹線「新潟空港乗り入れ」は実現するか 地元で高まる「空港延伸」「羽越新幹線」の期待

拡大
縮小

同実現同盟ホームページによると、フル規格による「奥羽・羽越新幹線」開業効果として、所要時間の短縮、交流人口の拡大、地域産業の活性化、安全・安定輸送の4点を挙げている。

特に、羽越新幹線開業効果として、東京―酒田間が2時間40分と、現行の上越新幹線+特急「いなほ」乗り継ぎの場合よりも1時間15分短縮されることを挙げている。なお、4月15日より新潟駅で上越新幹線と「いなほ」の対面乗り換えが開始され、乗り換え抵抗の軽減は実現している。

2015年3月14日の北陸新幹線長野駅―金沢駅間開業により金沢への直通列車がなくなった新潟県にとっては、羽越新幹線開業は北陸新幹線との接続を通じて、将来的には富山・金沢・福井・関西方面への直通列車の復活につながる。

北陸新幹線の金沢延伸で環境が変化

そして、北陸新幹線金沢延伸は、上越新幹線を取り巻く状況も大きく変えた。大宮駅―高崎駅間の2015年度乗車人員は前年度比15.4%増の10万4922人となり、その後も順調に増加して2017年度は10万6539人に達した。

北陸新幹線金沢延伸による根元効果が端的に表れた高崎駅以南とは対照的に、上越新幹線高崎駅以北の「枝線化」を懸念する意見も見られる。

実際に2015年度の高崎駅―越後湯沢駅間の乗車人員は前年度比19.5%減の2万9133人に落ち込んだ。2017年度は3万0179人まで回復したものの、北陸新幹線金沢延伸前の水準には及ばない。北陸への短絡ルートとして機能していた越後湯沢駅から北越急行線を経由するルートがその使命を終えたことが大きな要因だ。また、越後湯沢駅―新潟駅間の2015年度乗車人員は前年度比1.2%増の2万1105人で、その後も微増を続け、2017年度は2万2020人となった。

北陸新幹線沿線への観光利用・ビジネス利用のほか、都内への通勤・通学利用も多く当面は順調な利用が見込まれる高崎駅以南は別として、同駅以北は沿線人口減少や1都3県への人口流出などにより乗車人員が減る可能性がある。

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