トランプ誕生は「1960年代からの必然」だった 「政治学の巨星」パットナムが語るアメリカ

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トランプ政権が誕生した社会的背景を踏まえて、アメリカの現代の問題点などを鋭く指摘していく(撮影:梅谷秀司)
アメリカ国民は、中間選挙でトランプ大統領にどのような審判を下すのか。アメリカ社会の崩壊を予測したベストセラー『孤独なボウリング』や『われらの子ども』で世界的に知られる政治学者が、トランプ政権とアメリカの未来について熱く語った。

アメリカ中間選挙はどうなるのか?

11月6日に行われるアメリカの中間選挙は、トランプ政権にどんな影響を与えるだろうか。選挙と言っても、大統領の当落が決まるといったものではもちろんない。ただ、上院議席の一部(35議席)と、下院議席のすべて(435議席)が審判にさらされ、政治のパワーバランスが大きく変わることになる。

現在は、上院、下院ともトランプの共和党が過半数を占めている。中間選挙後、これがどうなるか。現時点での私の予想では、上院は選挙後も共和党が過半を占めるだろうが、下院は逆転して、民主党が過半を握ることになるだろう。

すると、下院の各委員会の委員長ポストが民主党に移ることになる。委員長は調査権を持っているので、その権限をフルに生かしてトランプ政権の過去2年間の粗探しが始まるだろう。トランプは、これまでのような強引な運営はできなくなるはずだ。

オバマ政権の最後の時も、これと同じ現象が生じた。2014年の中間選挙でオバマの民主党は敗北し、上院、下院とも共和党に過半数を握られた。この影響もあって、オバマの後を受けたヒラリー・クリントンは共和党のトランプに敗れた。今回民主党が下院の過半数を握ることになれば、それは次の2020年の大統領選挙でトランプに不利に働くはずだ。

今回の中間選挙で私が特筆すべきと思ったのは、女性たちが政治を語り始めたことだ。これまでは、PTAなど、女性たちの交流の場で政治が語られることはなかったが、それが今回変わった。

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