家系ラーメン「町田商店」が抱く全国制覇の夢 上場を機に、手薄な関東以外での出店を加速

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田川社長が上場を考え始めたのは3年ほど前のこと。2017年10月期の売上高は56億円(前期比24%増)、経常利益は6.3億円(同47%増)。上場を目指せる規模に拡大したうえ、金銭面や採用、交渉などいずれにおいてもメリットになることから、上場を決断した。

今後狙うのは”関東以外”

今回の上場で得る資金は店舗展開に充てる。富士経済の調査によれば2017年のラーメンの市場規模は4402億円(前年比0.8%増)と、ここ数年は横ばい傾向が続く。2022年の市場規模が4453億円と予測されるなど、今後も大きな伸びは期待しにくい。

田川氏は家系ラーメンの出店余地は多いと強調する(撮影:大澤 誠)

ただ家系ラーメンに限れば、東京や神奈川以外を見渡すと空白地域もあり、「まだまだ成長性がある」と田川社長は強調する。北海道や九州などご当地ラーメンが強いところではハードルがやや高いが、「家系ラーメンの支持に地域性はあまり感じていない」(同)。

今後は、出店数が少ない関東以外での出店では力を入れる方針だ。並行して、「町田商店」以外にもにんにくや野菜、背脂などを入れた”がっつり系”の「豚山」にも注力し、幅広いニーズを取り込む。

海外では、2016年のシンガポールを皮切りに、アメリカのロサンゼルスとニューヨークに直営店を出店しており、積極的な展開を続けている。中長期では国内外それぞれで1000店舗体制を目指す。市民権を得て多くの屋号が乱立する家系ラーメン。その中でギフトは”確固たる地位”を築くことはできるだろうか。

遠山 綾乃 東洋経済 記者

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とおやま あやの / Ayano Toyama

東京外国語大学フランス語専攻卒。在学中に仏ボルドー政治学院へ留学。精密機器、電子部品、医療機器、コンビニ、外食業界を経て、ベアリングなど機械業界を担当。趣味はミュージカル観劇。

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