プーチンが密かに狙う北方領土「1島返還」

日本の立場に不満を示している

安倍首相は「次の首脳会談が重要になる」とし、11、12月の国際会議で2度行う予定の日露首脳会談に意欲を見せるが、大統領の後ろ向き発言を見る限り、進展はありそうもない。

米中貿易戦争で中国寄り

プーチン大統領は米中貿易戦争に関する質問にも答え、「状況を悪化させるような事態に過敏に反応する必要はないが、国益を守ることは疑いなく重要だ。中国とロシアは常にそうしてきた」と述べ、中露の一体感を強調。「(米中の)貿易戦争も(ロシアへの)制裁も、米国の内政と結びついている。中間選挙や大統領選挙を前に、経済の方向性を維持する必要があるということだ。短・中期的には一定の効果があっても、長期的には否定的な影響が出てくる。世界経済に打撃を与え、それが米国を直撃するだろう」とし、米中貿易戦争はドナルド・トランプ政権の内政的要請との見方を示した。

また、「中国人には忍耐力がある。中国の経済力なら、貿易戦争に耐えることができる。中国の経済規模は人口を勘案すれば米国をしのぐ勢いだ。経済政策を修正したとはいえ、成長率は依然高い。世界も世界経済もいずれ変化していく」などと語った。米中貿易戦争で中国に加担する発言であり、近年の中国傾斜外交を見せ付けた。本音では、ロシアは米中が貿易戦争でともに消耗することを望んでいるかもしれない。

中露の蜜月は、9月にロシア極東一帯で行われた大型軍事演習「ボストーク2018」に中国軍約3200人が参加したことにも見られた。中露の合同演習は陸海でこれまで計15回程度行われており、珍しくはないが、米国を仮想敵に仕立てた過去最大規模のロシア軍の演習に中国軍が参加したことはやはり意味がある。

ロシアの安保政策を担うニコライ・パトルシェフ安全保障会議書記は、「ロシアは中国のような非欧米の新興大国と同盟を構築していく必要がある」と述べており、政権内で中露同盟論が議論されている模様だ。米国の対中、対露政策が、中露をますます接近させている。

日本人の質問に「面白くない」と投げやりだった大統領は、中国人の質問には、「尊敬する友人であり仲間」と敬意を表しており、中国志向、日本離れを態度で示していた。

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