日立vsアルストム「イタリア電車対決」の軍配 愛称「ロック」と「ポップ」並んで同時デビュー

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

各車両の特徴を見ていこう。まず、この両車種に共通して進化した部分が2つある。いずれも運用する鉄道会社側の意向が反映された部分である。

ロックの車内にある自転車置き場。電動自転車の充電用にコンセントが設置されている(筆者撮影)

1つは、自転車置き場に電動自転車の充電用コンセントが設置されたことだ。近年イタリアでも電動自転車が普及してきたことで、その充電用に自転車置き場へコンセントが設置されたのだ。実際、街中で見ていても、日本のママチャリのような日常用途の自転車のみならず、スポーツ用やマウンテンバイクのような趣味性の高いタイプにも、電動化の波が確実に押し寄せている。

だが、ロックについては中・短距離の各駅停車などが主な使用目的ゆえ、はたして充電するだけの間、列車を利用するものなのかが気になるところだ。実際、ポップには設けられている各座席のコンセントおよび携帯電話充電用のUSBポートがロックには設けられておらず、これは短時間の乗車を想定してのことだろう。それにもかかわらず自転車置き場にコンセントが設置されたのは、サイクリングの途中でバッテリーが底を尽き、緊急で充電が必要という場合を想定してのものだろうか。

日立製車両のドアは日本的?

2つ目は、2021年から施行されるイタリア鉄道の新防災基準に準拠していることだ。この新防災基準では、同国内で運行される全車両に火災センサーとスプリンクラーの設置を義務づけており、これは民間オペレーターや他国から乗り入れる国際列車も例外ではない。展示された両車は当然ながら、この新基準を満たしている。

ロックの乗降ドア。片開きの戸袋付きドアが採用された。ヨーロッパの車両で、戸袋付き引き戸は比較的珍しい(筆者撮影)

一方で、メーカーの意向が反映された部分がある。乗降用のドアだ。

これは非常に興味深い点だ。日立製のロックは日本の電車と同様の、戸袋付きの引き戸が採用されており、一方のポップは、従来の車両と同様に外側にスライドして開くプラグドアが採用されている。この違いはなぜか、日立のイタリア人技術者に聞くと「このドアは新世代のタイプで、日立の技術を採用している」との回答を得た。

次ページ「引き戸」はイタリアでどう評価されるか
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事