日立vsアルストム「イタリア電車対決」の軍配 愛称「ロック」と「ポップ」並んで同時デビュー

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もちろん、今でも2社以上が手を組んで共同受注するというケースもあるが、たいていの場合はメインとなるメーカーが本契約を結び、それ以外のメーカーは下請けとして、生産能力の不足分を補完する役割を担っている。あるいは電装品だけ、信号システムだけなど、パーツのみ他社製というパターンもある。

日立製のロック。エクステリアデザインは外部委託ではなく、社内で行っている(筆者撮影)
アルストム製のポップ。オランダ鉄道から発注された新型インターシティ用電車とは、塗装違いで同じデザインだ(筆者撮影)

今回展示された2車種はいずれもメーカー側が提案した車両で、トレニタリアは複数のメーカーが提示した案の中から、この2車種を選択したということになる。ポップに関して言えば、オランダのインターシティ用電車こそが真の「兄弟」と言え、こちらは塗装が異なるだけで、車体などはほぼ共通のデザインとなっている。

ただ、今回の2車種はどちらも過去の実績が考慮された可能性が高い。ロックの1世代前の2階建て通勤・近郊用電車はTSR型と呼ばれ、日立に買収される前のアンサルドブレダが製造を担当。一方のポップも、その前の世代は同じアルストム製の「ジャズ」で、ベースとなったのは同社の「コラディア・メリディアン」という車種になる。今回展示された両社の車両は、いずれも前世代からの正常進化型といえるだろう。

日立製だが「イタリア生まれ」

そもそも、この2つの車両はどこの国の車両なのだろうか。各メーカーは本社所在地を本拠地として紹介されるが、この十数年の間にメーカーの統廃合が進んだことで、実際は別の国で造っていることのほうが多い。

ロックは日本の日立製だが、製造はイタリアのピストイアにある工場で、同国の技術者が中心となって設計している。もう一方のポップも、フランスのアルストム製ではあるが、製造はイタリアやフランスなどに立地する同社の各工場で生産される予定で、同社内6カ国のスタッフが手を組んだ国際チームによって設計されているという。

片や日本人とイタリア人のハーフで、一方はフランス人だがいろいろな血の混じった国際人……といったところだろうか。もっとも、日立レールヨーロッパは本拠地が英国なので、国籍は英国人という考え方もできるかもしれない。

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