米国で苦戦のスターバックス、優等生の日本も減速
外食チェーンで一、二を争う出店数で高成長を遂げたスターバックスコーヒージャパン。今年7月のドリンク値上げ以降、客数減少に歯止めがかからない。書き入れ時の8月は、既存店客数が前年同月比8・5%減と大幅に落ち込んだ。9月、10月も客数は6%減が続いており、回復の兆しは見えてこない。牛乳などの食材高も追い打ちとなり、2009年3月期の業績を引き下げた。期初計画の営業利益71億円(前期67億円)の増益予想から一転、50億円となる見通し。利益2ケタ増の快進撃は、6期目にストップした。
一方、米スターバックス本社も、創業した1971年以来の苦境に立たされている。08年7~9月期の純利益は548万ドル(約5・4億円)と、前年同期比96・6%減まで縮小。国内600店(9月末時点で1万1567店)を閉鎖する計画だ。
もはや米国は飽和状態。米本社の頼みの綱は、海外市場となっている。9月末時点の海外店舗数は5113店で、このうち日本は16%を占める。日本法人は米本社に売上高の5・5%をロイヤルティとして支払っており「日本は優等生と自負している」(日本法人幹部)。中期的に1000店の強気計画も変えていない。
しかし既存店が低迷する中、想定以上に店舗費用が重くのしかかる。今期は不採算15店を閉鎖するが、「景気悪化で、今後は一段と不採算店が増えるかもしれない」(日本法人幹部)と懸念する。それでも日本法人には、大幅な退店が許されない事情がある。米国本社から、期末店舗数のノルマが課せられているのだ。ノルマに達しなければ、新規出店の権利を解除される可能性もある。今のところ今期末の計画816店に対し出店は順調に進んでおり、ノルマの776店を楽に上回る。しかし長期的に見ると、出店戦略に影響が出てくるおそれもある。
これまでスターバックスは、高級路線が支持されて順調に出店を伸ばしてきた。しかし個人消費が落ち込む中、日本法人を取り巻く環境も一段と厳しさを増している。
(山本亜由子 撮影:今井康一 =週刊東洋経済)
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