「朝まで生テレビ」出演が多い大学ランキング 東大の次には意外なあの大学が……

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6位明治大。番組初期、栗本慎一郎(法)が毎回のように出演して圧倒的な存在感を示していたが、いま、彼に続く『朝生』明治大論客は現れていない。

7位帝京大。防衛大学校出身で陸将をつとめた志方俊之(法)がメイン。『ビートたけしのTVタックル』『たかじんのそこまで言って委員会』などで防衛問題をわかりやすく解説した。

8位東洋大。小泉政権のころ、松原聡(経済)がよく出演していた。自身のツイッターには「郵政改革では、小泉政権で民営化推進。日本郵便取締役をつとめたが、09年11月20日、民主党政権で解任」とある。現在は東洋大副学長。

9位獨協大。ほとんどが森永卓郎(経済)である。彼はバラエティー番組の出演も多い。

10位上智大。番組初期、保守派の論客として渡部昇一(文)が、小田実、大島渚など左派系に議論を挑んでいた。グレゴリー・クラーク(経済)も、比較文化から日本人論を語っていた。彼はのちに多摩大学長に迎えられた。

10位早稲田大。慶應義塾大に大きく差をつけられた。1980~90年代は吉村作治(人間科学)、2000年代は重村智計(国際教養)、2010年代は中林美恵子(社会科学)の出演回数が多い。

『朝生』出演で、その大学からほぼ一人だけの出演、それによって大学の知名度を高めた学者が何人かいる。保守派の西尾幹二(電気通信大)、大原康男(国学院大)。リベラルの山口二郎(北海道大)、宮台真司(東京都立大=出演当時)。日中問題に詳しい朱建栄(東洋学園大)。選挙分析に強い福岡政行(白鴎大)などだ。なお、山口は北海道大から法政大に移って以降、『朝生』に出ていない。

大学を移った著名な出演者には香山リカ(帝塚山学院大→立教大)、八木秀次(高崎経済大→麗澤大)、高橋洋一(東洋大→嘉悦大)、上田紀行(愛媛大→東京工業大)などがいる。

存在感のある論客は…

『朝生』が始まったのは、まだ昭和の時代である。ベルリンの壁が崩壊する前、東西対立の構図があったころだ。

番組初期、大島渚、野坂昭如、小田実、栗本慎一郎らが激論を交わしており、左右のイデオロギーがガンガンぶつかったことがあった。平成に入って、オウム真理教の麻原彰晃が出演したこともあった。

1990年代まで『朝生』は論壇でも取り上げられることがあったが、前述のように、いまは話題性に乏しくなり、元気がなくなった。左右の対立軸がなくなり、時代の変化、強烈なキャラクターを持つ出演者が少なくなったからだろう。もちろん、若者のテレビ離れも大きい。

『朝生』を契機にブレークした学者は少なくない。前出の栗本、西尾、宮台、香山などは、もともと論壇、ジャーナリズムで名前が知られていたが、『朝生』文化人として一気に知名度を高めることになる。

『朝生』が生んだ最大のスターは舛添要一であろう。ほとんど無名の大学助教授だったが、博学で論争に強いところが評価される。東京大を辞めて、国会議員となり厚生労働大臣を3期務めたあと、政党代表、東京都知事に就いた。この間、首相候補といわれたこともある。

舛添に続くような存在感のある『朝生』論客は出てくるだろうか。

大学の役割には社会貢献がある。大学教員は積極的に『朝生』など討論番組に登場して専門的なテーマをわかりやすく解きほぐしてほしい。

(文:小林哲夫・教育ジャーナリスト)

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