iPhone XRが廉価版じゃなく「本命」なワケ アップル幹部のフィル・シラー氏に直撃!

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「Androidから乗り換える人にとっては、あらゆる面で、非常に大きな体験のステップアップをお届けできるでしょう。過去のiPhoneから乗り換える人には、TrueDepthカメラとジェスチャーの流れるようなインターフェース、処理性能、そしてさらに楽しくなったカメラがあります。また、ステレオスピーカーにも驚かされることでしょう。

そして、いずれの皆さんにとっても、A12 BionicとARや機械学習を用いたアプリによってもたらされる、人々が想像していなかった体験を楽しむことができます。誰もが使うことができる形で未来をお届けする、そんな製品です」(フィラー氏)

品質はもちろんだが、シラー氏が強調するのは、「当たり前のこと」だった。

アップルが重視する「プライバシー」

「アップルは顧客のプライバシーをこれまでも注意深く守ってきました。ユーザーのニーズを一番に考えたとき、できるだけ少ない情報でユーザーがやりたいことができるようにするということを重視してきました。これは昨今セキュリティが話題になっているからではなく、これまでもずっと重視してきていることです。地図上のどこにいるのか、Siriになんてしゃべったのか、友達にどんなメッセージを送ったのか。こうした日々のことは、守られなければなりません。

iPhone XRでは、デバイス上で機械学習処理を行えるようA12 Bionicプロセッサを用意しました。データは端末の中にあり、暗号化され、その中で処理されます。アップルが最も重視している点であり、こうした取り組みに“やり過ぎる”といったことはありません」

また、環境問題についても同様のスタンダードの高さを強調する。地球に対していかにインパクトを減らすかを考え、製造工程はもちろんのこと、小さなパッケージを実現して配送を効率化したという。またiMessageやFaceTimeといったサービスはすべて再生可能エネルギーで提供されており、一時でも環境問題を気にかけたら、iPhone以外選択肢がなくなるような状況だ。

「環境を守るためにあらゆることをしなければならず、それに惜しみなく取り組んでいる」とシラー氏は語った。

最後にシラー氏は、日本の顧客に対して、次のようなメッセージを述べた。

「アップルは日本が大好きで、訪れるのを楽しみにしていますし、日本のお客様が大好きです。そして日本に作ったApple Storeも大切にしています。日本は製品を向上し続ける際の指標となっています。ディテールにこだわり、デザインの品質に注意を払う、そんな日本の人たちに製品を楽しんでもらっていることを誇りに思います。iPhone XRも成功することを願っています」

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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