iPhone XRが廉価版じゃなく「本命」なワケ アップル幹部のフィル・シラー氏に直撃!

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9月のイベントでiPhone XRのプレゼンテーションを行うフィル・シラー氏(筆者撮影)

「オールスクリーンはiPhone Xファミリーのアイデンティティです。有機ELディスプレーは画素自体が発光するため、ディスプレーの形を整え、製品の縁のラウンドの形に合わせることは比較的容易でした。しかし液晶はそうはいきません。ここに非常に苦労しました。

TrueDepthカメラ部分を避けながら縁まで敷き詰めるため、ガラスを丁寧にカットし、またサイドライトも非常に薄いものを採用し、高い品質を実現しました。またタッチセンサーは120Hzとこれまでの倍の反応のよさです」(シラー氏)

6色展開と「カラフル」な製品の歴史

今回のiPhone XRには、iPhoneラインナップには珍しく6色展開を実現した。カラフルなiPhoneを展開したのは2度目だったが、今回はどのように色を選んだのか。

iPhone XR イエロー。液晶ながら、iPhone XSのように、カメラ・センサー部分の切り欠きに沿ってガラスがカットされている。背面のカメラは1つ(筆者撮影)(筆者撮影)

「非常に特別な色の選択をしています。(アップルのデザイン最高責任者)ジョナサン・アイブは、膨大なカラーサンプルを並べて、その中から最適な6色を選びました。その過程では、単に色のよさだけではなく、アルミニウムに色を付けた際にどうなるのか、ガラスの背面で最も鮮やかに映る色は何か、とマテリアルと色の組み合わせから最も美しく見える色に絞り込んでいきました」

ここでシラー氏は、多色展開のアップル製品の歴史について、振り返った。

「アップルの歴史の中で新しく、美しいカラーをラインナップに取り入れたことが何度もあります。iMacはボンダイブルーから始まり、そのときのiMacにとって一番いいカラバリを追加しました。iPodでもアルミニウムという素材を使うことでユニークなカラーを展開しました。そのときある素材で一番良いカラーを考えた一つの例だと思います」

多色展開の製品は、アップルがパソコンの世界、音楽プレーヤーの世界で飛躍する際に必ず登場しており、今回のiPhone XRは2度目のカラフルなiPhoneではあるが、iPhone X世代のスマートフォンとしての飛躍を「アップルが狙ってきている」気迫の表れと見ることができる。

しかし歴史をひもとくと、さらに共通点があることを、シラー氏は指摘した。

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