ANA「羽田-ウィーン」直行便開設のインパクト 「音楽の都」への定期便は何をもたらすか

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ウィーン中央駅から空港へは「レールジェット」でわずか15分。普通乗車券で乗れるのも魅力(ウィーン空港駅にて/筆者撮影)

ウィーンと中東欧諸国とのつながりは非常に緊密となっている。冷戦時代、訪問する各国のビザの取得に1カ月近く必要だった頃とはまったく別次元の世界となっている。

ウィーン国際空港と市内を結ぶ足も過去数年の間に再構築され、より利便性が上がっている。もともとウィーンには、空港と市内中心を結ぶ鉄道・シティエアポートトレイン(CAT)が走っており、30分間隔で運行、わずか16分でオフィス街・ミッテ地区にたどり着くルートがある。

ところが、オーストリアを横断し周辺各国への直通国際列車も兼ねている「レールジェット(railjet)」が出現後、中央駅と国際空港とをショートカットする新たなルートを走る同列車の運行が開始され、市内へのアクセスがさらに楽になった。

中央駅からウィーンの著名な観光地が集まるオペラ座周辺へは名物の赤いトラムに乗って15分ほど。観光客の町歩きにも便利な仕組みが整っており、気軽にチョコレートケーキ「ザッハトルテ」や、コーヒーに生クリームが載った、いわゆるウインナコーヒー「アインシュペナー」が楽しめるというわけだ。

新規就航ルートの混み具合は?

どのような人々がこの新規就航便を利用するのだろうか。

ロンドンの日系旅行代理店の販売担当者は「意外にも、英国やドイツ、フランスに向かう日本人の需要で席が埋まってしまうかもしれません。東京で仕事した後、ウィーン便に飛び乗れば、乗り継いで英独仏の主要都市に朝のうちに着けますしね。しばらくは中東欧向け需要より、そちらのほうが多いかもしれないですね」と語る。

機材が長距離用では一回り小さい「ボーイング787−9」が投入される予定だが、旅客需要によっては大きめの機体への変更が意外と早く行われるかもしれない。

さかい もとみ 在英ジャーナリスト

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Motomi Sakai

旅行会社勤務ののち、15年間にわたる香港在住中にライター兼編集者に転向。2008年から経済・企業情報の配信サービスを行うNNAロンドンを拠点に勤務。2014年秋にフリージャーナリストに。旅に欠かせない公共交通に関するテーマや、訪日外国人観光に関するトピックに注目する一方、英国で開催された五輪やラグビーW杯での経験を生かし、日本に向けた提言等を発信している。著書に『中国人観光客 おもてなしの鉄則』(アスク出版)など。問い合わせ先は、jiujing@nifty.com

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