アドビ「働き方を変える」新しいアプリの正体 「体験のデザイン」が共通言語となる近未来

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編集者、広告営業担当者、デザイナーが同席してウェブサイトのデザインについて打ち合わせをする際、編集者の要望や、広告面での改善点が議論に上がると、目の前で画面のイメージを作り、すぐに修正を加える。これによりスピード感と意思疎通の正確さがもたらされたという。

プロトタイピングは、シリコンバレーでの共通言語とも言える「デザイン思考」の中で最も重要なプロセスだ。アイデアをカタチにして試し、正否を知る。こうして正しい答えへと近づいていく。つまりプロトタイピングが多ければ多いほど、正確な答えに近づけるという考え方だ。

Adobe XDのプロトタイピングの速さは、まさにデザイン思考の概念を取り入れた存在と言える。つまり、Adobe XDはほとんどすべてのビジネスにおいて、デザイン思考を急速に取り入れるツールとして作用することになる。

デザインの未来はコラボレーションが前提

ベルスキー氏は、「プロトタイピングは共有であり、コラボレーションである」とし、デザインの未来はコラボレーションが前提となる考えを示した。

「Adobe XDのように、あらゆるAdobeのアプリの右上には共有ボタンがあるべきであり、そのためにデータはクラウドに保存され、人々が協業できるようにすべき」(ベルスキー氏)

これが、アドビのクリエーティブツールの未来像である最も大きな理由だ。同時に、アドビの「クリエーティビティをすべての人に届ける」ビジョンの具体的な事例として、人々の働き方を、より急速に変えていくことになるのだ。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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