大井川鉄道、「グッズ」が象徴する経営の変化 「トーマス」以外の独自商品が続々登場

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大井川鉄道は蒸気機関車の保存運転を開始した当初から、記念切符をはじめグッズ販売に力を入れていたが、「きかんしゃトーマス号」が走るようになってから、一気にトーマス関連グッズが増えた。

「きかんしゃトーマス号」では「きかんしゃトーマス弁当」とお茶を楽しむことができる(筆者撮影)©2018 Gullane [Thomas] Limited.

商品点数が増えただけでなく、実際にきかんしゃトーマス号の関連商品は人気が高い。その理由の一つは手の込んだ造りであることだろう。たとえば、新金谷駅前にある売店やミュージアムなどが入った施設「プラザロコ」で販売している「きかんしゃトーマス弁当」は、すし部分が機関車の前面と動輪、その上の具材が機関車本体と煙という凝ったものだ。このほかにもトーマス関連商品は数多く販売されており、観光客の人気を集めている。

「大鉄」オリジナル商品も急増

だが、ここ2年の新製品数で見ると、2017年度はトーマス関連が6種類だったのに対して大井川鉄道のオリジナルグッズは21種類も発売された。2018年度は、10月時点でトーマスグッズの新製品が14種類なのに対し、オリジナルグッズはなんと31種類にのぼっている。新たに登場するオリジナルグッズが、トーマス関連をはるかにしのぐ数になっているのだ。

グッズ類を販売する大井川鉄道商事部(旧大鉄商事)の売上額に占める比率を見ると、トーマス関連グッズは2017年度が1%、2018年4~7月は2%だったのに対し、オリジナルグッズは同期間で約5%から10%にまで増えたという。

さて、実際にどんなグッズが開発されているのだろうか。今年、これまでに発売された大井川鉄道のオリジナルグッズ新製品は前述のとおり31種類。SLをモチーフにしたトートバッグやボールペン、定規といった手ごろな商品から、「撮り鉄」の注目を集めるであろうSLナンバープレートが入ったカメラストラップや、「かわね路号」「すまた号」のサボ(側面表示板)プレート、さらにはキャラクター「鉄道むすめ」をあしらったものまで幅広いラインナップだ。

オリジナルグッズ全体の中で特に人気があるのは、SLの燃料である石炭をイメージした「黒カレー」と、SL列車内限定販売の「SL目覚まし時計」、それに「連結でGO!」という、SLと客車を離しても自動連結して走る模型で、これもSL車内限定販売の商品だ。

バラエティに富んだ商品群だが、グッズの企画はどのように行っているのだろうか。

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