「年金分割」熟年離婚は99%やめたほうがいい

「嫌な夫」でも「仮面夫婦」のほうがまだマシだ

一般的に離婚をすると、婚姻期間が30年超でも、妻の年金額は自身の国民年金(基礎年金)の5万円と合わせて、月10万円程度になるケースが多いといえます。

「DV(家庭内暴力)がある」「一緒にいるのが具合悪くなるほど苦痛」など、離婚やむなしのケースもあるでしょう。しかし、離婚したい理由が「価値観が合わない」「一緒にいてもつまらない」といったものであり、理解し合える部分もあるというなら、経済的なことも踏まえて冷静に考えてみてください。離婚ありきではなく、「つかず離れずやり過ごす」「時間差で生活する」など、うまくやっていく選択肢はいくらでもあるはずです。背に腹は代えられないのが、正直なところではないでしょうか。

先ほどのケースでは、離婚による年金分割で妻が受け取れるのは月額3万円強でしたが、もし夫が亡くなるまで形だけでも添い遂げたら、遺族厚生年金を受け取ることができます。標準報酬月額38万円、38年間会社員だった場合、離婚しなければ全加入期間が対象になるなどの理由から、受け取る額は格段に増えます。年金は、年額約93万円(月額8万円弱)になります。離婚したのと、添い遂げたのでは、15年で約825万円(=55万円の差の15年分)もの差が生じるのです。

「夫が亡くなるのを待って」と言っているのではありません。年金分割はいい制度ではありますが、妻にとって(夫にとっても)決して有利とは言えず、現実的に考えれば、「離婚は損が大きい」ことを、ぜひ念頭においてください。

それでも離婚したければ、分割額は必ず確認すること

それでも「とにかく1秒でも早く離婚したい」という人は、ご自身のケースで、年金分割が実際、どの程度の額になるかを確認してみましょう。夫婦であれば、夫の了承がなくても、年金事務所で分割の額を教えてもらうことができます。

離婚したい妻は、具体的な金額を知ることで今後の指針になると思います。「毎月の生活費がどの程度賄えるのか」「年金以外にいくらあれば生活できるのか」を必ず計算してください。

離婚を切望する夫、妻から離婚を切り出されそうな予感がある夫も、どれだけ年金が持っていかれるかを知っておくことをお勧めします。離婚を避けたいなら、「これしか分けられないから、お互い楽ではない。なんとかうまくやっていこう」と口説くのもいいかもしれません(歩み寄る努力が必要です)。有紀さんのように、両親が離婚しそう……という人は、親御さんに現実を伝えて、再度、意思確認をするといいでしょう。

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