香港の「計画運休」は、ここまで徹底している 気象台の発令で鉄道どころか金融市場も閉鎖
先の台風24号の際には、JR東日本による「計画運休」もさることながら、台風21号で大きな浸水被害を受けた関西国際空港の対応も関心を呼んだ。土嚢(どのう)を積むなどして、十分な浸水防止作業を行ったうえで滑走路の長時間閉鎖という措置に出たが、大過なく復旧できたことは記憶に新しい。
香港国際空港も関空と同様、海上の空港島にすべての施設が建てられている。同空港を運航拠点(ハブ)とするキャセイパシフィック航空は9月15日、台風22号の襲来に備え、香港発着便の欠航が始まる前日にはスケジュール変更について利用顧客にメールを一斉送信する措置を取った。
一方で香港の空港当局は「ご自身が乗られる便の運航が確定し、かつ予約が確保されていないかぎり、空港へは来ないこと」という明確なメッセージをウェブサイトの最もよく目に入る場所に掲げていた。
台風22号が非常に強い台風だったことから、空港当局は「関空の閉鎖を他山の石としない」とはっきりと述べ、かつてない予防措置を取った。実際に香港を襲った台風は非常に強力で、九龍半島の海に面した高層ビルの窓が破壊された写真は世界中に配信されたほどだ。
働く人へのルール作りも
香港の「台風シグナル」の仕組みは、お隣のマカオ、あるいは北側に広がる中国本土の広東省でもほぼ同じようなルールで運用されている。特に香港―広東省間には、事実上の国境線をまたいで走る直通列車に高速バス、フェリー、さらにこの9月には高速鉄道の運行も始まったことから、異常気象時のルール構築がある程度共通化されていることが必要不可欠となる。
今秋は日本各地で台風の襲来が毎週のように続き、夏の猛暑と並んで「気象災害」と言っても過言ではない事態を繰り返すこととなった。大型台風が来年以降もやって来る可能性も視野に入れながら「計画運休」の立ち位置についてより議論を深める必要があるだろう。
一方で、異常気象時の交通機関の運行可否を問うこともさることながら、そうした際の「働く者へのルール作り」を目指す動きもあってよさそうなものだ。その点で、香港の事例はひとつの参考になるのではないだろうか。
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