屋台骨の車載機器まで苦境、追いこまれるパイオニア

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--同業のJVC・ケンウッド(日本ビクターとケンウッドが10月経営統合し発足)のような形もあるのか。

何でも1社でやる時代ではなく、JVC・ケンウッドのような方法もあるだろう。ただ(現状では)、統合よりも事業ごとの協業を検討する。たとえばシャープとは株式14%を持ってもらうだけでなく、(液晶テレビの開発など)いろんな形で協業が進んでいる。今後も協業を拡大することで合意している。もちろん(筆頭株主として)「1日も早く株価を戻せ」と注文はもらっている。先日も大阪へ出向き、シャープの町田(勝彦)会長と片山(幹雄)社長に就任を報告したが、「とにかく目に見える形で協業の成果を出そう」という話になった。 

--プラズマは6期連続で赤字が続く。須藤前社長は今年に入り、国内2工場閉鎖と人員削減を決めたが、なぜ迅速に手が打てなかったのか。

プラズマはあまりにも大きな事業になりすぎた。これを一気にやめると、何千人の雇用に影響が出る。そう考えて、経営判断のスピードが遅れたのかもしれない。だが今になって考えると、あまりにプラズマに集中して他の事業が育たず、最先端の製品が出せていなかった。

--業界からはパイオニアについて「技術と製品への高いプライドが、事業撤退や他社との協業を阻む一因になっている」との声もある。

確かにプライドはある。創業以来、世界初、業界初、最先端であることを伝統としてきた企業だ。そのDNAがわれわれの誇りでもあり、ブランド力の源でもあった。今それが悪い方に向いて、なかなか転換できないと言われているのかもしれない。だが、会社というのはどこも風土があるものだ。提携相手にもプライドと伝統があるだろう。協業できるなら何でもいいとはならない。そう簡単にまとまるものではない。

--プラズマや光ディスクなど、赤字事業から撤退する必要はないか。

今は考えていない。プラズマをやめるべきだという意見も聞こえるが、パイオニアはやはりAVメーカー。中核商品であるディスプレーはなくてはならない。事業規模は小さくなるだろうが、独自性を生かせる製品を続けていく。光ディスクに関しても、これからブルーレイが立ち上がり、大きな市場ができる。ただし、この分野も1社でやるには投資が大きい。他社と協業することを考えている。


(杉本りうこ 撮影:今井康一 尾形文繁 =週刊東洋経済)

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