「杉田水脈擁護」のドグマが蔓延する深刻理由 常識の欠如に無自覚な人たちが増えている

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そして、この不協和を修正するために「喫煙者にも長寿の人はいる」「煙草をやめるストレスの方が、がんのリスクが高まる」などと新たな認知を作りだす。

さらに、その認知をより強固にさせるため「交通事故の方が死亡率が高い」とし、認知的不協和を解消させ、より強固な「喫煙信仰」を深めていくのに似ている。

このような心理行動を「認知的不協和状態の解消」という。これを提唱した社会心理学者のレオン・フェスティンガーは、「人は自らが信じていること(認知)と異なることが起きたとき、人はその不協和を解消させようと、行動をとる」とし、この世の終末を予言した宗教団体に潜入した稀有な学者だ。

フェスティンガーの著書『予言がはずれるとき』によると、この世の終末を予言した宗教団体はすべて予言を外したが、信仰を続けて団体に残る人が必ずいるという。

「新潮45」も認知的不協和に陥った

そこでフェスティンガーは、信仰から離れる人と、信仰を続ける人の違いを探るため、終末を予言した宗教団体に複数の研究者たちと潜入した。その結果、信仰を続けた人たちには大きな共通点があることがわかった。

1つは、信仰のために家族や友人、財産など多くを捨ててきていたこと。もう1つは、予言が外れた後も信仰していた者同士で過ごしたことであった。「少しおかしい……」と思い始めても、隣に座る人の信仰を聞けば、また信仰に戻るのだという。つまり、同じ小部屋に居続ければ教祖がどんな間違ったことを言っても信仰は続くのである。

このことを踏まえると、不祥事を起こした各スポーツ界の重鎮たちも、「小部屋」に入り込んでしまったと言える。『新潮45』編集部がとった行動もまた然りである。

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