鈴鹿F1日本GPを彩る伝説マシン走行の舞台裏

30回記念大会では往年のドライバーが操る

McLaren MP4/6(1991)をテストする筆者(写真:Honda)

そしてもう1台、1989年よりスタートした3500ccノーマルアスピレーション時代のホンダエンジン究極のマシンとも言えるのがマクラーレン・ホンダMP4/6(1991年)だ。エンジンは3500ccV型12気筒60度バンクで最大出力は700ps/13000rpm、この排気量でピーク回転は13500rpmまでの回転特性を持っている。

先にリポートしたターボチャージドエンジンと違い、ノーマルアスピレーションエンジン(自然吸気)のコンディションは大変に安定しているとも言える。

過給器を含め補機類が少ないのが維持管理の利点ではあるものの、超高回転を目指しての多気筒化は、エンジン走行距離という形で、メンテナンスサイクルの管理がより一層重要になってくる。V型12気筒は高回転に加え、中速領域でのトルクもそれまでのV型10気筒を上回る特性。今回はエンジン回転を12000rpmまでとし、スロットル開度60%~100%での特性を判断しながらも、全閉からのドライバビリティも確認した。

マクラーレン、エンジン暖気風景

マクラーレンMP4/6は佐藤琢磨氏が走行予定

この個体はホンダ・コレクションホール所属レーシングマシンの中でも最も性能が安定しているマシンと言え、現役引退から長い時間が経過していながらもエンジン出力、走行性能共に高いレベルで保存がされている。ドライバーのヒューマンエラーを極限まで抑え込むことに成功したマシン作りは、すべての操作系が正確に機能することで感じることができる。

他チームに先駆けて採用される視認性の良いオールデジタルメーターの採用や、精度の高いHパターン6速シフトレバーは、ミッションがおのずから吸い込まれるようにシフトしていく。こちらのマシンも鈴鹿デモンストレーションランに合わせて英国製エイボンスリックタイヤのスカッフィングを行い、車体バランスを確認したうえで合格とした。

週末の鈴鹿では、佐藤琢磨氏によって快音をとどろかせてくれるだろう。

筆者が実走行テストするMcLaren MP4/6。ホンダ以外にも、登場F1マシンは総勢10台でドライバーは9人がドライビングを披露する予定となっている(写真:Honda)

ホンダ・コレクションホールでは1959年の2輪車による世界グランプリ・マン島参戦マシン、4輪では1964年F1初参戦マシンRA271をはじめ、世界中で戦ってきたレーシングマシンを「動態保存」し、後世に伝えていくことが活動の柱だ。

今週末の鈴鹿、デモンストレーションランを見掛けた際には、どうぞ温かい声援をお願いします!

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