JR東が実演「指差し確認」は世界で普及するか

独国際見本市、日立は規模拡大の秘策を披露

会場にはJR九州の青柳俊彦社長の姿もあった。同社は世界各地の観光見本市に出展し、パネルを使って九州観光のPRを行っている。「イノトランスの出展はお金がかかる。当社の規模では(出展は)無理ですよ」と青柳社長は話す。でも、豪華列車「ななつ星」の車内モックアップ(実物大模型)を会場に展示したら、外国人がどんな反応をするか見てみたい気もする。

日立製作所は今年のイノトランスで巨大なブースを構えた(記者撮影)

話題が尽きない日本の鉄道会社に対し、車両メーカーは二極化の様相だ。元気なメーカーの代表格が日立製作所だ。巨大なブースにはシーメンスやアルストムなど業界“ビッグスリー”も顔負けのにぎわいを見せる。「私が2004年に初めて参加したときはブースも非常に小さく、来訪者も少なかった」と、日立の鉄道部門を率いるアリステア・ドーマー執行役専務は当時を振り返る。

日立の鉄道事業の売上高はイギリスの高速鉄道案件獲得やイタリアの鉄道メーカー買収で年々規模を拡大し、2018年3月期の売上高は5627億円。2020年代の早い時期にビッグスリーと並ぶ1兆円の大台乗せを狙う。M&Aによる規模拡大も「今、話すのは時期尚早」としながらも、検討していることを認める。

独仏連合から分離された事業の買収も

その後、シーメンスとアルストムが鉄道事業統合を発表した。EU(欧州連合)が承認すれば両社を合算した売上高は2兆円規模となる。日立にとってビッグスリーと並ぶという目標は遠のくことになるが、1兆円の目標は変えていない。ドーマー氏は「独占禁止法上の問題が多く、統合がすんなり承認されるかどうかはわからない」とみる。「独禁法回避のため、統合時に一部事業が切り離されることも予想される」と言い、それを日立が買収して自社に取り込み、規模拡大につなげるというシナリオも考えられる。

日立と同じくイノトランスの常連組だった川崎重工業だが、今回は会場にその姿が見られなかった。昨年12月、川重の製造不備により新幹線の台車に亀裂が発生するトラブルが起きている。9月28日に川重が再発防止策について記者会見を行った際、「海外ビジネスにおける影響は現時点では出ていない」と川重幹部が断言した。だが、鉄道事業の売り上げの3分の2を海外に頼る川重にとって、重要な商談の場を失った痛手は大きい。

日本車輌製造も今回は出展していない。アメリカやインドネシアで巨額の損失を出しており、アメリカ・イリノイ州の工場は閉鎖に追い込まれている。一方で、国内向けは東京メトロ丸ノ内線の新型車両の製造が始まり、親会社であるJR東海向け新幹線車両「N700S」量産車の生産も見込めるなど活況が続きそう。出展見送りは、今後は国内に注力するというメッセージとも読める。

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