次期カローラセダンは5ナンバーを保つのか ワゴンも含め3ナンバー化が話題になる理由

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一方で、カローラに限らず、世界の車はモデルチェンジのたびに車体寸法が大型化し、たとえばメルセデス・ベンツ「Cクラス」も、そもそもは小型4ドアセダンとして「190E」が誕生したはずであるのに、世代を追うごとに大型化した。その結果、今度はメルセデスとしては最もコンパクトな「Aクラス」に4ドアセダンが設けられることになった。もはや現在のCクラスでは大きすぎると感じる消費者が出てきたからだ。

フォルクスワーゲン「ゴルフ」もしかり。大きくなった現在の7代目ゴルフに対し、もう「『ポロ』で十分なのではないか」との声もある。実際、現在のポロは4世代目のゴルフと同等の大きさだ。

国内市場へ向けた対応が必要

同じことはどの車種にも言えるが、ことにカローラにとっては3ナンバー化をどうするかというのは大きな問題で、国内市場へ向けた対応が必要になってくる。

その際、トヨタはいまトヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)として、クルマの基本性能や機能は共通としながら、車種ごとの商品性向上に開発予算を振り分けることを行っている。本音を言えば、3ナンバー化してTNGAを活かした高性能な小型車へカローラを進化させたいところだろう。

実際、11代目カローラでは海外向けカローラとは別に、トヨタのコンパクトカー「ヴィッツ」用プラットフォームを使うことで国内用の5ナンバーカローラを成り立たせていた。自動車評論家のなかには、走行性能で見劣りするとの評価もあったが、少なくとも国内の制限速度の範囲で欧州並みの走行性能が必要かと言われれば、いらない商品性だ。車体がよけいに大きくなり、扱いにくくなり、価格も上昇したとするならば、不要なものに顧客は代金を払うことになる。カローラ離れが一気に進んだはずだ。

それでも年を経るごとに、そのカローラもしっかりとした操縦安定性を作り込み、ハイブリッドの動力源も搭載されるようになり、ハイブリッド車でありながら手ごろな価格の1台として優れた買い得感を持つクルマとなっている。

ボディのデザインに自由度を持たせたり、従来よりも太いタイヤを履かせて走行性能を高めたり、衝突安全性能を確保したりなど、クルマの横幅を広げることに一定の合理性はある。それでも国内におけるカローラの3ナンバー化は、トヨタにとっても慎重に進めねばならない。国内市場におけるカローラとは、それほどトヨタのなかでも重い存在である。

御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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