Netflixの「安くて、便利」は永続が難しい理由 「定額制動画配信サービス」に潜むワナ
これは今年7月にAmazonプライム・ビデオに「チャンネル」が加わったことがきっかけになっている。チャンネルは、Amazonプライム・ビデオのラインナップにNTTドコモがKADOKAWAと運営する「dアニメストア」などのサードパーティの有料視聴サービスが加わったもので、プライム会員費とは別の視聴料金が発生する。
dアニメの場合、月額400円を追加で支払うことになるのだが、くだんの『シュタインズ・ゲート ゼロ』の第14話以降が一時この「dアニメストア for Prime Video」でしか視聴できなくなったため、ユーザーから「露骨な課金への誘導ではないか」と不満の声が上がった。
作品へのレビューコメントも一時その苦情であふれかえったが、その後再び14話以降もAmazonプライム・ビデオで視聴可能となり、レビューはすべて削除された。
アマゾンもNetflix同様、コンテンツの調達に多額の投資を行っている。サードパーティの「チャンネル」の導入はそのコストを抑えつつ、コンテンツのラインナップを拡充させようという工夫の一環であったはずだが、ユーザーにとっては少々わかりにくく、混乱を招くことにもなっている。
さらなる「値上げ」や「陳腐化」が起きる可能性も
dアニメのような提供者からすれば、定額視聴サービスでずっとコンテンツを視聴可能にしてしまっては、その希少価値が薄れてしまう。自社の視聴サービスに移行してもらったり、パッケージの購入を促すなど、その展開ウィンドウをコントロールして、コンテンツから得られる収益を最大化したいというのが本音だろう。
定額視聴サービスは、普及が始まったばかりで、サービス間の競争も激しい。運営者・提供者ともまだ試行錯誤の段階にあることが「値上げ」や「コンテンツの視聴期間の変動」といった形でユーザーに負担を掛けることになっているのも事実だ。
ネットサービスは一番手のサービスが他を駆逐すると、さらなる値上げ、品ぞろえの陳腐化へと向いがちだ。競争が一段落すれば、それまでの莫大な投資の回収や収益の確保に走るのは企業としては合理的な判断となる。プラットフォームとしての地位が確立されれば、プラムビデオでその兆候がみられるように、コンテンツ提供者に「参加」という形で収益機会と負担を分担させようという動きも拡がっていく可能性もあり、『シュタインズ・ゲート ゼロ』のような騒動が再び起きるかもしれない。
いずれにしても、NetflixやAmazonプライム・ビデオといった定額制サービスは「いつでも・どこでも・なんでも・手軽に」という姿をいつまでも保っていられるものではないと筆者は考える。
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