クルマ社会沖縄に「ゆいレール」は根付いたか 開業から15年、来年夏には延伸開業も予定

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ただ、この延伸区間4.1kmが開業すると、終点のてだこ浦西駅が高速道路とほぼ接続する場所に建設されるため、パークアンドライドや沖縄市方面から高速道路を経由してやってくるバスを接続させ、スムーズに那覇市街へと運ぶ役割を果たすことが可能となる。

また、てだこ浦西駅から沖縄北部方面へのレンタカーの拠点となる可能性もあり、この延伸開業は大きな期待が持てる。現状では2019年夏の開業を目指して準備が進んでおり、予定どおりの開業を望みたいところだ。

ゆいレールの那覇空港駅。「OKICA」以外のICカードは「使用できません」と書いた注意書きがある(筆者撮影)

2つ目の課題は交通系全国共通ICカードが使えないことだ。現在使用されている「OKICA」は2014年から沖縄の独自ICカードとして導入され、ゆいレールのほかに沖縄本島の路線バスで利用することができるが、補助金の関係などで地域独自のICカードとしての導入となった。

だが、那覇空港駅では「OKICA」しか使えないことで戸惑う観光客も見られる。そこで、昨年度から交通系全国共通ICカードをゆいレールや路線バスでも利用できるようにするための取り組みが進んでいる。

混雑緩和へ対策は?

そして3つ目、近年特に注目されるようになった課題として利用客増加によるゆいレールの混雑がある。

すでに建設前予測の1日あたり4万2000人の利用は大きく超えており、延伸開業時にはさらに利用客が増えると予想される。さらに観光客は大きなスーツケースを持って移動することも多く、1人あたりの占有スペースが大きくなり、混雑に拍車をかけている。

そのため、新しい車両ではドア周りのスペースを広げたり、先述のとおり繁忙期は増発による輸送力増強を行う。2両編成を3両編成にして輸送力を増やす提案もあるが、「全体的に設備への投資が必要となるため、(3両編成化よりも)増発による輸送力増強で対応したい」(沖縄都市モノレール担当者)という。

地元住民と観光客双方を運ぶ都市内交通として今後さらなる進化を遂げるゆいレール。那覇の交通を支える足として今後の発展にますます期待したいところだ。

鳴海 侑 まち探訪家

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なるみ ゆう / Yu Narumi

1990年、神奈川県生まれ。大学卒業後は交通事業者やコンサルタントの勤務等を経て現職。「特徴のないまちはない」をモットーに、全国各地の「まち」を巡る。これまで全国650以上の市町村を訪問済み。「まち」をキーワードに、ライティングをはじめとしたさまざまな活動を行っている。最新の活動についてはホームページ(https://www.naru.me/)やX(旧・Twitter、https://twitter.com/mistp0uffer)で配信中。

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