クルマ社会沖縄に「ゆいレール」は根付いたか 開業から15年、来年夏には延伸開業も予定

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ここに吹いた追い風が景気回復とLCCの就航だ。LCCは2012年7月にジェットスター・ジャパンが成田―那覇線を運航開始したのを皮切りに、ピーチ・アビエーションやエアアジア・ジャパンなどが就航した。中でもピーチ・アビエーションは那覇空港を第2の拠点として利用客を伸ばしている。

2013年度には1日平均利用客が4万人を突破、その後は年間50万人以上の利用者増が続き、2016年度には初の単年度黒字を達成した。その後も観光客と県民、両輪による大幅な利用者増加が続いている。

おもろまち駅周辺には高層マンションや大型複合施設、免税店が建ち並ぶ(筆者撮影)

紆余曲折を経て開業したゆいレールだが、まちの発展には大きく寄与した。まずモノレール下を走る道路が拡張され、交通がスムーズになった。牧志駅近くではホテルと一体の再開発が行われた。そして大規模土地区画整理事業を行ったおもろまち駅周辺には空港外免税店のDFSができたほか、地元スーパーのサンエーが入る大型複合施設「那覇メインプレイス」や、30階建て・ツインタワーのマンションもできた。ほかにも沿線で開発・再開発が進んだ場所はいくつもある。その進展に伴ってゆいレールも利用者を増やしてきた。

4種類もあるダイヤ

そんなゆいレールは観光や催事の影響を大きく受ける沿線環境であるため、運行ダイヤのフレキシブルさが特徴だ。

ゆいレールの利用客が多いのは8月と10月である。8月は観光客が多い時期だとしても、10月に利用客が多いのはなぜか。これは「那覇大綱挽まつり」と「産業祭り」の影響が大きいのだという。この2つの祭りではゆいレール沿線や奥武山公園が大きな会場となるため利用者が急増し、特に「那覇大綱挽まつりの日は全線で1日約7万人が利用する」(沖縄都市モノレール担当者)という。イベント日には増発による輸送力増強で対応する。

また、2017年8月に行ったダイヤ改正では、それまで平日と土休日の2つのダイヤだったのを、平日・金曜・土曜・日曜の4つのダイヤに細かく分けた。

このうち金曜ダイヤは最も本数が多く、平日ダイヤが昼間10分間隔での運行なのに対して8分間隔となり、1日267本が走る。土曜と日曜は夕方の運行間隔を変えて観光客に対応している。このほか、さらに7月と8月の平日は金曜ダイヤに準じる臨時ダイヤで運行しており、年間130日ほどは臨時ダイヤでの運行だという。これは全国でも珍しいといえよう。

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