東欧鉄道メーカー苦戦に忍び寄る「中国の影」 製品は好評だが経営基盤脆弱で買収の標的に

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これらの地元企業やイタリア国内に工場を持つメーカーがひしめき合う中で、ペサはまったくの外様であり、同国内に工場も持たないにもかかわらず契約を勝ち取った。それだけ同社製品が、鉄道会社にとって魅力ある価格と性能だったことがうかがえる。

ドイツ鉄道にも採用されたシュコダ社の高性能電気機関車109E。写真は今年の「イノトランス」で展示された車両(筆者撮影)

ペサをはじめ、近年の中・東欧メーカーの躍進振りには目を見張るものがある。ドイツ鉄道も運行認可などの部分で多少のつまずきはあったものの、ペサだけではなくチェコのシュコダとも契約するなど、近年は西欧諸国以外のメーカーから車両を調達するケースが徐々に増えている。

デザイン面ではまだ多少のやぼったさはあるものの、低廉な価格と十分な性能を備えた中・東欧系メーカーの車両は、西欧諸国にとっても魅力ある製品であることは間違いなく、今後も中・東欧メーカーの製品が西欧各国で採用される可能性は高い。

経営難に中国企業が着目

ただ、中・東欧系メーカーの弱点は、経営基盤が弱いという点だ。シュコダも積極的に西欧諸国への進出を進めているほか、アメリカにも子会社を置いて車両製造を行うなど、欧州地域以外への展開も積極的に行っている。しかし一方で、2016年に対前年比で14%も売り上げが落ちると、たちどころに経営状況が悪化し、身売りの話が飛び交うなど暗雲が立ち込めた。

その状況に目を付けたのが、今や世界最大の車両メーカーである中国中車だ。同社は以前から欧州に基盤を持つ鉄道車両メーカーの買収に意欲を示しており、シュコダの経営が悪化した2016年から2017年夏ごろにかけて攻勢をかけ、一時期はシュコダ側も買収に向けほぼ合意したとの見方も出ていた。

だが結局、中国企業に買収されることを懸念した株主やチェコの国会議員らの猛反発により、最終的にチェコの投資会社PPFグループが救いの手を差し伸べて同社を買収、この問題に決着が付いた。

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