金正恩が自国をみすぼらしいと卑下したワケ 南北会談での接待攻勢は何を意味するのか

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韓国の北朝鮮専門家は「これまでの首脳会談では、花束が振られており、統一旗を使ったのは韓国の指導者への最大限の配慮ではないか」と分析している。

そして約1時間のドライブの末、文夫妻が宿泊する目的地の百花園迎賓館に到着した。正恩氏は直接部屋を案内し、ここで先に紹介した「みすぼらしい」発言が飛び出したというわけだ。

朝鮮労働党中央委員会本部庁舎に韓国大統領が入るのは初めてだった(写真:Pyeongyang Press Corps/REUTERS)

この日、続いて首脳会談が開かれた。場所は、朝鮮労働党中央委員会本部庁舎。日本でいえば首相官邸に当たる政治の中心部だ。父の時代には外部に公開されたことはないが、正恩氏の時代になり、米国や韓国からの特使をこの場所に招き入れて、会談を行っている。韓国大統領がここに入るのは初めてだった。

この日の映像は、玄関から、入り口ホール、2階につながる階段など豪華な内部をきっちりと映し出していた。内部がこれだけ幅広く公開されたのも、初めてだろう。

「チラ見せ」に終わった肝心の核放棄

2日目となる19日午前には2回目の首脳会談が行われ、「平壌共同声明文」が発表された。注目されていた核・ミサイル関係では、北西部、東倉里(トンチャンリ)にあるミサイル関連施設を専門家の立ち会いの下で永久廃棄することを明記。「アメリカが相応の措置を取れば」という条件付きで、北西部、寧辺(ニョンビョン)にある核施設廃棄などの追加措置を取る用意がある、となっていた。

合意文書を示す両首脳(写真:KBS/via REUTERS TV)

首脳会談前には、正恩氏が、核廃棄に向けたスケジュール表を提示するなどとも予想されていたが、核廃棄への意思を「チラ見せ」しただけに終わった。

代わりに合意文書には、南北の鉄道と道路の連結、開城工団と金剛山観光の正常化、2032年の夏季五輪共同招致、さらには正恩氏のソウル訪問まで盛り込まれた。もう南北統一が実現したかのような、きらびやかな合意内容だった。

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