夢の田舎暮らしにつきまとう「耳を疑う」現実

ムラ意識の強く残る地方で嫌われない条件

つまり、このように都会からの移住者に別荘地を勧めるのも、そんな事情があるからだということだ。

とはいえ、集落といっても、心構えひとつで理想郷にもなりうる。だからこそ、最初の菓子折りの配り方から間違ってはいけないというのである。

やはり覚悟が必要だ

新入りはもっとも下層として扱われるのであり、そう振る舞うことでのみ、地元の者から親しげを装われることが許されるのである。(246ページより)
人間関係の濃密さでは集落に敵う場所はないだろう。それが好き、なうちは集落移住、もうダメ、となったら別荘地移住と、棲み分けてもいいだろう。(247ページより)
『誰も教えてくれない田舎暮らしの教科書』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

こうした記述を見ると、さすがに極端すぎるようにも思える。しかし、最悪のケースを想定しておくに越したことはないということ、それが著者の考え方なのだ。

冒頭でも触れたとおり、本書における著者の言葉や表現はいちいち厳しい。それどころか、「ここまで書くか?」と戸惑ってしまうような部分すらある。だから、「不快感を覚える人もいるかもしれない」と念を押したのだ。しかし、やはりそれは書かなければならないことなのだろうとも思う。本当に田舎での生活を軌道に乗せたいのであれば、やはり覚悟が必要だからだ。

なお、巻末の「おわりに」の部分に、著者の考え方が集約されている。大切なことだと思うので、少し長いが引用しておこう。

よくよく覚悟したほうがいい。
移住は不都合と不条理の宝庫である。自分が想定するメリットよりもデメリットが必ず上回るのが都会に対する地方であり、田舎である。
そこへの了解がないままに都会の資産をすべてなげうっての田舎暮らしは、それはまさに土地を開拓するに等しい苦労にほかならない。
話題に欠き、取り付く島がなくなると、移住者はまず風光明媚さを褒めるのだが、それはほとんど地元住民の心を打たない。何をのんきなこと言ってやがんでえ、と思われるのがオチである。
山間部であれ海沿いであれ、共通するのは、開拓の苦労である。
田舎はことごとく開拓、開墾の地である。どこまで行っても山岳地帯しかないこの日本列島に田園風景、畑が広がるのは、彼らが戦前から戦後も永く、開墾し続けてきたからである。
それは北海道への開拓移民や満蒙開拓団に並ぶ、それぞれの土地の者の血と汗の結果としての風景にほかならないのだ。
その歴史を直視せずして、素晴らしい風景、素晴らしい空気に水、などという表現は、それこそまず移住第一歩からして歴史を顧みぬ、風土と地元民に敬意を払わぬ、おちゃらけにしか映らない。
(「おわりに」より)

とても説得力のある文章だと感じる。そして、もしここに共感できる移住希望者であるなら、「物件探し」「お金」「人間関係」などさまざまな角度から「田舎暮らしのコツ」をレクチャーしてくれる本書を、きっと役立てることができるだろう。

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