アメリカは日本よりも金融危機に楽観的だ

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 現在の銀行の国際的な資本ルールは危機に際してあまりにも厳格すぎるという点で、参加者の意見は一致していた。資産はリスクで評価されているため危機が発生すると自動的にリスクが高まることになり、銀行は業務を縮小せざるをえなくなる。それが金融逼迫をさらに悪化させ、悪循環を招くことになる。資本と資産に関するルールは、バブルと同時にバブル破裂にも対処できるように設定すべきである。

参加者の多くは、中央銀行が事前にバブルを阻止するためにできることは極めて限られているというグリーンスパン前FRB議長の意見に同意しなかった。ある参加者は、過剰な金融緩和がなければバブルは発生しなかっただろうと主張していた。他の参加者は規制政策に焦点を当て、米政府は新しい“ノンバンク”に対し、銀行と同じルールを適用して住宅ローンの頭金と返済能力の証明書を求めるべきであると主張していた。そうしていれば、住宅バブルはもっと小規模なものにとどまっただろう。

問題含みの住宅ローンを貸した住宅金融企業や、怪しげな抵当証券を発行した投資銀行が果たした役割も議論された。それぞれの文化の違いを反映して、両国のアプローチの仕方に基本的な違いが見られた。日本側の出席者は、企業や金融機関の倫理や誠実さを高める必要性があると主張した。これに対して米国側の出席者は、倫理は法制化できないとし、企業経営者が正しいことをすれば利益を上げることができるというインセンティブを与える必要があると主張する傾向が見られた。

日本側の出席者の多くは「私が言ったとおりではないか」という態度をとるのを避けていた。しかし、米国の経済システムの威信が低下したことは明らかである。改革派で知られるある日本人は、コーポレートガバナンスから金融テクニックに至る多くの問題に関して米国流の対処法を批判する演説を行った。米政府の担当者は、米国が希望するようなさまざまな金融改革を他の国を説得して実行させるのは難しくなるだろうと内輪の会話の中で言っていた。

しかし、米国の政策が効果を発揮し、景気後退が懸念されたほど深刻でないことが明らかになれば、人々は再び米国経済の復元力について語り始めるだろう。来年の会議では議論するテーマがたくさんある。

リチャード・カッツ
The Oriental Economist Report 編集長。ニューヨーク・タイムズ、フィナンシャル・タイムズ等にも寄稿する知日派ジャーナリスト。経済学修士(ニューヨーク大学)。当コラムへのご意見は英語でrbkatz@orientaleconomist.comまで。

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