サービス業に蔓延「悪質クレーム」の被害実態 4人に3人が遭遇!法整備に向けた動きも…

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UAゼンセンの総合サービス部門で事務局長を務める古川大氏は、医療・介護・福祉では威嚇・脅迫やセクハラ行為が多かったと指摘する(記者撮影)

また、セクハラについて高松副書記長は「会社の内部でのハラスメントだけでなく、顧客や第三者のハラスメントに対応できるものを法制化できないか」と話す。

対策は法整備にとどまらない。ゼンセンは厚生労働省に対して悪質クレームの実態調査や、倫理的な消費行動の啓蒙や教育も求めている。8月10日には賛同する176万人余りの署名を集め、加藤勝信厚労相に提出した。

深刻な人手不足問題

実際、アンケート中の「迷惑行為が発生している原因をどう考えるか」という質問(複数回答可、以下同)に対し1万6333人が「顧客のモラル低下」と回答。「迷惑行為からあなたを守るためにどのような措置が必要か」との質問には1万0215人が「顧客への啓発活動」と答えている。

厚労省の統計によると、2018年7月時点で「サービスの職業」の有効求人倍率は3.45倍で、求職者1人に対して3~4件の求人がある状況。中でも「接客・給仕の職業」は3.93倍、「介護サービスの職業」は4.03倍と、より深刻だ。悪質クレーム(迷惑行為)問題の解決は、人手不足の解消を考えるうえでも重要となる。

従業員の定着率が上がればスキルが蓄積し、生産性が向上して従業員の処遇改善にもつながる。サービス業の現場では外国人労働者の受け入れ拡大に向けた議論や、機械化・省人化の動きも進められているが、悪質クレーム対策を含む根本的な職場環境の改善も欠かすことはできない。

佐々木 亮祐 東洋経済 記者

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ささき りょうすけ / Ryosuke Sasaki

1995年埼玉県生まれ。埼玉県立大宮高校、慶応義塾大学経済学部卒業。卒業論文ではふるさと納税を研究。2018年に入社、外食業界の担当や『会社四季報』編集部、『業界地図』編集部を経て、現在は半導体や電機担当。庶民派の記者を志す。趣味は野球とスピッツ鑑賞。社内の野球部ではキャッチャーを守る。Twitter:@TK_rsasaki

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