「世界一のAI強国」目指す中国のアキレス腱 「中国製造2025」でAI技術注力を明言

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10年後、世界のAI業界は米中2強時代となり、部分的には中国がアメリカを凌駕している可能性もある。中国のスマートシティ開発及びその関連技術が、新しいAI市場を作り上げることがあるかもしれない。

日本はAI研究開発に遅れ

ひるがえって日本の現状はどうか。17年の日本のAI予算は770億円(前年比30%増)であり、これはアメリカや中国のAI予算の約15%に過ぎず、大学や研究機関の基礎研究力の弱体化が懸念されている。

また、日本企業のAIに対する認識にはバラツキがあり、中国式の官民挙げての取り組みは容易に進まない。日本企業は科学技術論文掲載数や特許取得件数で世界トップレベルにあるが、AI研究開発における遅れを取り戻さなければ、日本経済を牽引してきた製造業の技術力はこの先徐々に低下しかねない。

日本では今後、総務省の「AI開発ガイドライン」によって、公共インフラやスマートシティ、災害救助などにAI技術が導入され、労働力を代替する手段としてのAI技術に期待が高まる。

産業機械・ロボット製造、スパコン・半導体技術などの分野で分厚い蓄積をもつ日本企業は、イノベーションを実用化させ、これまで数々のヒット商品を生み出してきた。日本企業には今後も、自社が強みとする専門領域でデータを蓄積し、さらに海外発のAI新技術をも応用して、生活の利便性を高める新製品を創出することを期待したい。

湯 進 みずほ銀行ビジネスソリューション部 上席主任研究員、上海工程技術大学客員教授

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タン ジン / Tang Jin

みずほ銀行で自動車・エレクトロニック産業を中心とした中国の産業経済についての調査業務を経て、日本・中国自動車業界の知見を活用した日系自動車関連の中国事業を支援。現場主義を掲げる産業エコノミストとして中国自動車産業の生の情報を継続的に発信。中央大学兼任教員、専修大学客員研究員を歴任。『中国のCASE革命 2035年のモビリティ未来図』(日本経済新聞出版、2021年)など著書・論文多数。(論考はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です)

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