「EVシフトの先進国」中国が抱える2020年問題 囁かれる「官製バブル」の崩壊リスク
1980年代からさまざまな政策を打ち出した中国の自動車市場は2000年代後半のモータリゼーションを経て、世界一の市場へ大きく成長した。しかし世界最大の市場国ではあっても、自動車強国ではなかった。なぜなら、2015年ごろまでは、コアとなる部品や技術などを外資系企業に握られていたからだ。中国自動車メーカーが成長し、中国が自動車強国になるためには、自動車を取り巻く環境が大きく変化する、ゲームチェンジが生じないかぎり難しかったのだ。
その中国が今、EVシフトという大転換の波に乗って真の自動車強国になろうとしている。
従来車の勢力図を塗り替えるEVシフト
従来、自動車の開発には「すり合わせ」が不可欠であり、そこには長い年月の経験やナレッジの蓄積が必要であった。これが従来車メーカーの競争力の源泉であったが、部品点数が少なく、エンジンがなくなったEVでは、高度な「すり合わせ」が求められることはない。そのため、中国系自動車メーカーはより短い期間で自動車開発のナレッジを習得することができたのだ。
またEVシフトは、自動運転、コネクテッド、シェアリングなどのトレンドとあわせて進行するのだが、そこでは、IoTやAI技術を伴った、開発から生産、調達、販売、利用などバリューチェーン全体での変革が生じる。こうした変化は、従来車の時代に大きく成長できなかった新興国自動車メーカー、特に中国系自動車メーカーにとって、リスクではなくチャンスなのだ。
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