「EVシフトの先進国」中国が抱える2020年問題 囁かれる「官製バブル」の崩壊リスク
単純比較はすべきではないが、電動二輪車の事例を踏まえると、中国は四輪車でも将来的にドラスティックなEVシフトを実現する可能性を十分に秘めていると言えよう。
両刃の剣「官製EVシフト」
中国は今、国家戦略としてEVシフトを推し進めている。その目的は環境問題や自国の自動車産業振興などであり、その推進エンジンとなっているのが補助金政策である。大型都市や中型都市では、中央政府だけでなく地方政府からも補助金が支給されるため、地域によっては、合計で1台当たり最大約11万元(日本円で約190万円)という多額の補助金が支給された。
そのかいもあって、2015年の新エネルギー車(HEV等を含む)導入目標である50万台は無事クリアされた。そして今、2020年までに500万台という挑戦的な目標に向かって邁進しつつある。
ただし、今後もこの調子でいけるかどうかは不透明だ。
新エネルギー車市場を牽引する中国の補助金政策は、2020年末をもって終了することが予定されている。そのため、中国では2021年以降、新エネルギー車市場が縮小に転じるのではないか、バブルが弾けるのではないかと懸念する関係者も多い。これは中国市場の「2020年問題」とも呼ばれている。
もちろん中国としても、補助金に代わるEV推進の政策を用意している。それが、各乗用車メーカーに新エネルギー車(NEV)の導入を義務づけるNEV規制であり、また、燃費規制である。
燃費規制は、新エネルギー車導入促進の方針に基づき、NEVを数多く生産、販売した企業には、平均燃費を計算する際に優遇する措置が採られており、燃費規制の厳格化は、EVシフトを大きく加速するものと予想される。また、ガソリン車に対し環境関連の税金を課すことも検討されている。
補助金という「アメ」でEVシフトを加速させてきた中国が、規制や課税という「ムチ」で今後もEVシフトを牽引していけるのか、業界の行く末を占ううえで注目し続ける必要がありそうだ。
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