「EVシフトの先進国」中国が抱える2020年問題 囁かれる「官製バブル」の崩壊リスク
中国の自動車産業では今、NextEV(蔚来汽車)やSINGULATO(奇点汽車)など十数社のEVベンチャーが市場参入を果たしている。
また今後、自動運転の実現にはAI技術が必要となるが、その点も中国にとっては追い風だ。
中国はモバイル端末の普及率が非常に高く、AI開発も盛んに行われている。環境認識、顔認証から音声認識まで、さまざまなAIスタートアップ企業が存在している。さらに、自動車の電動化、自動運転、コネクテッド、シェアリングサービスをめぐっては、スタートアップだけではなく、アリババやテンセント、バイドゥ(百度)などの世界的IT大手も資金を市場やファンドから集めて、次世代車の開発に投資している。
将来、彼らは中国政府や大手ファンドの支援を受けて先進国の大手に負けない技術を開発できるだろう。
二輪車ではすでにEVシフトを実現している
実は中国は、過去に劇的なEVシフトを経験している。それは二輪車での話だ。現在中国では、日本の公道ではほとんど見掛けることのない電動二輪車があふれるほど走っている。
中国では1990年代の後半に電動二輪車が登場し始め、巨大市場を形成してきた。国内での保有台数は優に1億台を超えている。
中国においてなぜこれほどまでに、二輪車の電動化が進んだのか。当時、中国の都市部では、急増した自動車やオートバイによって引き起こされる大気汚染、交通事故が社会問題化しており、1990年代の後半よりオートバイの総量規制が始まったことがキッカケだ。また、中国では電動二輪車が自転車と同等に見なされており、運転免許の取得は必要なく、道路交通法などの教習も存在しないという手軽さもこれに拍車をかけた。
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