「アクセス鉄道」空港の次は地方の港に熱視線 秋田港では専用列車、仙台港は今日デビュー

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試験運行が実施されたのは、秋田竿燈まつりで秋田港に寄港するクルーズ船に合わせて4日間。使用車両は一般型気動車キハ40形の4両編成で、秋田港駅の乗降は乗船タラップ同様のスロープを設置した。この実績をもとに、2018年度から本格運行が決まり、秋田港駅にはプラットホームが設置され、車両も観光車両にグレードアップされた。

秋田港駅には専用プラットホームが建設された(筆者撮影)

7月26日、秋田港に続く次の取り組みとしてJR東日本仙台支社が仙台港クルーズ船アクセス列車の運行を発表した。

こちらの報道資料には「宮城県・仙台市・仙台臨海鉄道株式会社等のご協力のもと」という文言があり、JR東日本が主体となって運行するとみられる。実施日は9月14日と26日。クルーズ船「飛鳥II」による「秋の日本三景クルーズ」の仙台港寄港に合わせて、松島方面へ運行する。使用車両は「リゾートみのり」に使われているキハ48形の観光型だ。

急増するクルーズ船、地方港の誘客競争に鉄道が寄与

近年、国際クルーズ船の日本への寄港と、国内クルーズ船ツアーが増加傾向にある。日本政府が実施する訪日プロモーション活動「ビジット・ジャパン・キャンペーン」とビザ取得制限の緩和、円安傾向による外国人の購買力増加などが功を奏しているほか、国内では第一次ベビーブーム世代の高齢者層の余暇消費がけん引している。

また、いわゆる豪華客船だけではなく、カジュアル型のクルーズツアーも増えている。移動費と宿泊食事代込みで考えれば、航空機や新幹線で移動し、リゾートホテルなどで宿泊する旅と比較して安価になる場合もあり、若い世代の利用も増えているようだ。

国土交通省が公表した調査結果によると、2017年のわが国の港湾へのクルーズ船の寄港回数は2764回で、対前年比37.1%の増加。過去最高となった。訪日クルーズ旅客数も252.9万人、日本人のクルーズ人口も31.5万人となり、すべて過去最多だ。2018年のクルーズ船寄港回数の速報値において、1月から7月までの合計寄港回数は約1割の増加となっている。クルーズ船利用者は増加傾向といえそうだ。

クルーズ船の寄港は自治体側からも歓迎だろう。大量の観光客を連れてきてくれるからだ。定員の少ないクルーズ船は高級タイプが多く富裕層の利用が多いと思われ、高額な観光消費を期待できる。日本を代表するクルーズ船「飛鳥II」の旅客定員は872名。秋田港にも寄港する大型船「ダイヤモンドプリンセス」は2704名。宿泊は船内となるため宿泊需要は増えないとしても、飲食店や観光施設のメリットは大きい。宿泊施設が少ない港湾都市では、宿泊容量が観光客受け入れの上限になってしまうから、ホテルを背負ってきてくれる客がありがたい。

都市の観光振興にとって、クルーズ船の寄港は重要だ。しかし、クルーズツアーの寄港回数には限りがある。そこで、地方の港ではクルーズ船誘致のために港湾の整備、都市とのアクセスを整備し、ほかの港と差別化を図りたい。

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