ななつ星も乗り入れる「門司港駅」の潜在力

かつての「九州の玄関口」は観光客で大盛況

ホームと電留線が並ぶ構内。線路は工事シートに覆われた駅舎の前で尽きる(撮影:久保田 敦)
鉄道ジャーナル社の協力を得て、『鉄道ジャーナル』2018年8月号「JR九州の喉元」を再構成した記事を掲載します。

門司港駅の2本のホームは、昔と変わらぬ木造上家が長く延び、タイムスリップしたような錯覚に陥る。しかし、手が入らずささくれた姿だった時期とは異なり「古いものとはこういうもの」と存在感を誇示するように、見事に整備されている。

焦げ茶に沈んだ天井から飾り気ない駅名標が、浮き立つように下がっている。拡声器、大時計、傘を被った電球。門司港は、関門海峡に面するその一帯が、昭和最後のころから古い建築を活かして景観整備が続けられて「門司港レトロ」となった。その街の入口で、代表的施設の1つが門司港駅である。

駅舎は2012年から大規模修理中

駅は1891年(明24)、九州鉄道の起点駅として開業、1914年(大3)に300mほど海寄りの現位置に移転した。当時は関門トンネルなどなく、下関とを結ぶ連絡船との乗り継ぎ利便を高めるためだった。鉄道院九州鉄道管理局工務課が設計したという駅舎は、西洋に学び、九州鉄道社長も務めた仙石貢の嗜好を汲んだと伝わる洋館建築で、2代目博多駅と類似するとも。傑出した建築として1988年(昭63)12月、鉄道駅舎として初めて国の重要文化財指定を受けた。これが門司港レトロの口火を切ったのだろう。

工事に入る前の門司港駅舎(撮影:久保田 敦)

ただ、その重文駅舎は老朽化が著しく、白アリにも蝕まれ、一部は危険の域にまで達していた。そのため、2006年に内部に鉄骨を入れて補強し、2012年からは100周年事業として国庫補助も得て根本的な修理が行われている。以来駅舎の姿はすっぽりと覆われてしまった。

「当初は今春の完成予定だったのですが、耐震補強をより強固にすることになり延びました。来てくださったお客様には申し訳ないのですが。でも5月中旬からクレーンで仮屋根を外す作業に入りました。秋には仮囲いも外れて外観が見られるようになるそうです。平成30年秋、駅の営業機能開業、平成31年春、グランドオープンの予定です」と語ってくれたのは、門司港駅オリジナル、詰襟のオーダーメイド制服を着用した松尾宜彦駅長だった。

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