ななつ星も乗り入れる「門司港駅」の潜在力

かつての「九州の玄関口」は観光客で大盛況

典型的な頭端式ホームの根元には、九州の鉄道創業の駅として「0哩」の記念碑や「28627」の動輪、腕木式信号機、転轍機が花の咲き誇る花壇とともに飾られ、自由に鳴らしてよい「旅立ちの鐘」も人を待つ。朝のラッシュ時は次から次に到着する電車から港界隈や市街の勤め先への通勤客が一斉に通り抜けてゆくが、その人波が引くと駅名標の下で記念撮影をする人が目につき、ときおり鐘の音も響く。威勢のよい中国語の会話が聞こえてくる。鹿児島本線起点の0キロ標識を探すと、1番線の根本に建っていた。

近代的な電車を受け入れるとは思えないほど懐かしさが漂うホーム(撮影:久保田 敦)

ホームの隣から、もと門司港運転区の電留線が並んでいる。その数は30線以上で、駅と車両基地が一体に広大な敷地を占める。今は全体が門司港駅としての扱いとなった。集中指令方式で、進路制御のほとんどがPRCにより自動化されている中、プログラム化されずに1つ1つの進路について係員が「てこ」を引く第一種継電連動装置が残されているのは、JR九州の駅で今や門司港と南福岡だけと言う。

列車は着発とも約100本ずつ。現在は普通と快速等の一般の電車で占められ、鹿児島本線が主体だが、少数ながら日豊本線と福北ゆたか線直通もある。特急は夜に到着して朝に出る通勤対応のパターン。そしてホームと基地の間、基地内の転線により平日は120回、土休日ダイヤでは250回もの入換が、1日中休むことなくある。

広い構内は操車係員の健康の源?

編成の分割は日に20回、連結は平日が25回、土休日は30回を数え、こちらはラッシュ輸送を終えた10~12時の間、夕方の輸送に向けた15~18時、1日の終わりと翌朝に備える21時以降に作業が立て続く。JR世代の車両は運転台のスイッチ1つで分割併合できるが、国鉄型415系は線路に下りて力で解放てこを扱い、ジャンパの付け外しをしなければならないので、やはり作業の大変さの度合が異なる。

「構内が広くて入換が多いですから、操車担当は1回の泊り(24時間勤務)で15kmぐらい歩きます。万歩計で計ってみました。水分をしっかり補給していれば健康的ですよ。一夏で10キロ痩せた人もいますから」運転担当の助役と駅長がそろって笑う。

門司港駅勤務の社員は駅長以下総勢33人おり、うち16人が、こうした信号や操車等に従事する運転担当が占める。そのような駅だからこそ、JR九州全体の運転関係社員の養成職場に指定されている。座学の後の現場研修があり1回あたり3~4週間のスケジュールで、年によって異なるが昨年はおよそ3カ月間隔で繰り返された。同席した助役は、その指導者としての役割を担う。

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