ななつ星も乗り入れる「門司港駅」の潜在力 かつての「九州の玄関口」は観光客で大盛況

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毎週火曜日の昼過ぎに「ななつ星 in 九州」が入線。車両基地に入って機関車を付け替え、推進運転でホームに到着(撮影:久保田 敦)

最近の大きな話題に、クルーズトレイン「ななつ星in九州」の乗り入れが挙げられる。本年3月のツアーから博多火曜日発の3泊4日コースの初日が正式に博多~門司港~大分経由で豊肥本線に入る設定となった。あえて「正式に」と記したのは、じつは昨年のメンテナンス入場後の8月の運転再開時、7月の北九州豪雨で久留米から久大本線に入るルートが不通となって急遽、門司港、日豊本線経由に変更されたためである。ところが9月には台風18号に見舞われ日豊本線が不通、再度のコース変更で長崎へ向かうこととなり、臨時の門司港経由はわずか1カ月で消えた。だから、正規の立ち寄りは今春3月27日からとなった。

機関車牽引の「ななつ星」が頭端式の門司港駅で折り返すには、どうするか。通常の尺度では計れない列車なので、じつに興味深い。

博多からやってきた列車は、最初はなんとホームに入らず車両基地の中2番線に到着する。そこに機回し線があるためで、機関車を反対側に付け替えて門司方に引き上げ、そして改めて推進運転でホームに据え付ける。中2番到着は12時45分だが、ホーム据え付けは13時16分。せっかくの門司港散策時間がずいぶん削がれてしまう……などと思うのだが、当の乗客たちはまったく意に介さないらしい。

機関車付け替え作業は乗客に大人気

見る機会のない車庫の中に割り込んで行ったと思うや、やおらヘルメット姿の係員(操車担当)が大窓の外に現れて連結を切る。機関車を移し替えて移動したと思ったら、今度は大窓をフルスクリーン状態にして頭端式ホームの終端に向けて静々と進入してゆく。折しもランチタイムの終盤だが、乗客たちはそっちのけでカメラを手に手に、初めて見る光景に夢中になるのだとか。運転の助役、曰く。

「みなさま、大きな窓からこちらの作業をご覧になっているのですから、それは今までになく緊張しました。お食事中ですから連結はとても気を遣います。でも、大変喜んでくださり、うれしいですよ。囲いが取れたら立派な駅舎に向かって近づいてゆくのですから、最高でしょう?」

ホームでは駅長、副駅長から駅員、北九州市の職員、門司区のマスコット「じーも君」もお出迎えをして、地元語り部の方による門司港駅のご案内。わずか数十分の途中下車ながら、ちょっとだけ街に出る人もおり、14時35分の発車までを存分に楽しんでゆくと言う。

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