ロボアドバイザー手数料1%は高いか安いか 「コストをかけずお金を貯めたい」と思う人に

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しかし、ここで注意すべきなのは単純に数字だけを見て判断してはいけないということだ。つまり「ロボアドバイザーは1%かかるので高い。自分でやれば0.2%に抑えられる」などと、表面的な数字だけの大小で評価しないことである。

もちろん、批判的な意見を述べている投資家などのブログやツイッターを見ていると、ほとんどの投稿者はすでに投資経験がそれなりに豊富で、かなり知識もありそうだ。さらに言えば、投資に関すること(投資だけでなくブログを書くなど)にそれなりの労力を割いているようであった。

こうした「セミプロ」以上の投資家にとっては、確かに1%は高いのかもしれない。だが、筆者に質問をしてきた投資初心者や、仕事が忙しくて投資に時間は割けないが、それでも銀行に預けっぱなしではなく、少しでも資産運用をしてみたいという人にとっては、1%の手数料で資産配分の決定、銘柄選定、購入、リバランスを勝手にやってもらえるのであれば、そこまで気にするほどのコストでもないのかもしれない。

事前にいろいろと調査をする姿勢はとても重要で、投資で失敗しないための1つの素養をすでに備えていると思う。だが、情報の発信者と自分の立場や経験値の違いなどは考慮して情報を得るべきであろう。

ロボアドに「過度な期待」を抱くな

このように、「手数料が高いか安いか」については、サービスの受け手によってとらえ方が異なる」というのが筆者の考え方である。

よって、筆者は質問をしてきた人にも同じような回答をしているのだが、話をしていて1つ気になったことがある。それは、ロボアドバイザーについて過度な期待を抱いているということだ。

名前のせいかもしれないが、AIやロボットがすごく高度で難しいアルゴリズムに基づいて運用をしてくれると思っている人がいる。また、相場が下落局面になっても、ロボットが自動的に必ず一定のリターンが確保できるような、柔軟な運用をしていると思っている人もいるのだ。基本的に現在のロボアドバイザーはロング(買い持ち)オンリーなので、相場全体が急落したら同じように資産も下落する。そのような局面で空売りをしたり、インバースETFを買って下落局面でも収益を取りにいったり、極端に現金比率を増やすような運用まではしてくれない。

筆者はむしろ、こうした「認識の違い」のほうが危険だと思う。当然のことだが、各社のホームページにはそのように誤認させるような紛らわしい記述はない。ユーザー側が勝手に勘違いしているだけだ。半年ほど前に、アメリカで市場が大きく下落した際にロボアドバイザー提供企業のサイトに解約のためにアクセスが殺到して、一時サイトが落ちたという話もあったことを考えると、日本だけでなく海外でも変な勘違いをしてしまっている人が少なくないようだ。

少し変な考え方かもしれないが、ロボアドバイザーを利用するメリットは「放置していられること」ではないか。もし銘柄選定から購入まで自分ですると、投資初心者であればあるほど、毎日資産管理画面を確認してしまうものだ。そうなると、少し利益が出ると利益確定をしてしまったり、ある日大きく下がると狼狽売りしてしまう。それでは一生投資で勝つことはできない。まずは投資してもよいと思える資産のうちの一部をロボアドバイザーに預けつつ、投資の勉強を始めるのがいいのではないだろうか。

森永 康平 マネネCEO/経済アナリスト

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もりなが こうへい / Kohei Morinaga

証券会社や運用会社にてアナリスト、エコノミストとしてリサーチ業務に従事した後、複数金融機関にて外国株式事業やラップ運用事業を立ち上げる。業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾、マレーシアなどアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、各法人のCEOおよび取締役を歴任。現在は法律事務所の顧問や、複数のベンチャー企業のCFOも兼任している。日本証券アナリスト協会検定会員。株式会社マネネTwitter

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