マハティールが海上都市を狙い撃ちするワケ 中国主導の「フォレストシティー」にブレーキ

拡大
縮小
 20日、マレーシアのフォレストシティーで進む建設工事(2018年 ロイター/Fathin Ungku)

[フォレストシティー/クアラルンプール(マレーシア) 27日 ロイター] - マレーシアのマハティール首相は27日、外国人には、マレー半島南端で進行中の巨大都市開発プロジェクト「フォレストシティー」に住むためのビザは発給しないと宣言した。

同首相が、シンガポールに近い埋立地に人口70万人の新しい街を築くという、中国の不動産デベロッパー大手、碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)<2007.HK>の計画に横やりを入れたのはこれが初めてではない。だが今回は、大きな影響が出そうだ。碧桂園は、マンション販売ではマレーシア人より外国人をターゲットにしてきたからだ。

「ビザは発給しない」

同開発プロジェクトの幹部は先週、ロイターの取材に対し、93歳のマハティール氏が5月の選挙で予想外の勝利をおさめて首相に復帰して以降、マンション需要が弱まり、今後の見通しの不透明さが懸念材料になっていると話していた。

マハティール氏の27日の発言により、懸念はさらに深まりそうだ。

「1つ確かなことがある。建設される町は、外国人には売ることができないということだ」と、マハティール氏は27日にクアラルンプールで開かれた記者会見でロイター記者の質問に答えて言った。「あそこに住みにくる人々に、ビザは発給しない」

1981年ー2003年にマレーシアの首相を務めたマハティール氏は、政府側の姿勢についてこう説明した。「マレーシア人ではなく外国人のために造られたものだからだ。マレーシア人のほとんどは、マンションを買うことができない」

開発を行っている、碧桂園とジョホール州の合弁企業、碧桂園太平洋景(CGPV)は声明を出し、マハティール氏の事務所に連絡をとって説明を求めていると表明した。声明は、マハティール氏の今回のコメントについて、同氏と碧桂園の楊国強会長の面談内容とは異なる点があり、 「一部報道は、前後の発言内容から切り離して報じたものかもしれない」としている。

次ページ購入者の約3分の2が中国人
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT