マハティールが海上都市を狙い撃ちするワケ 中国主導の「フォレストシティー」にブレーキ
シンガポールからジョホール海峡を渡ってマレーシアに入り、アブラヤシ農園やジャングルを抜ける約30分のドライブで到着するゲランパタの町は、かつてはマングローブの林や漁業の集落で知られる静かな場所だった。いまやそこには超高層ビルが林立している。
その未来的な開発風景は、計画されている4つの人工島のうち、第1の島の半分部分でしかない。計画全体の20平方キロの広さのうち、わずか2.7平方キロだ。
さらなる高層マンションやタウンハウス、商業施設の建設も全速力で進められている。大型トラック数十台が砂や資材を運び、クレーンは上へと伸び続け、複数の高層マンションが完成を間近に控えている。
フォレストシティーの住民はまだほとんどいない。サービスアパートに住む従業員や、ホテルに滞在するゲストが主な居住者だ。
だが今月、最初のインターナショナルスクールが開校し、初の生徒60人を受け入れた。生徒のほとんどは中国人だが、一部韓国人もいる。広さ22エーカー(約8万9000平方メートル)のキャンパスには、「垂直庭園」のほか、五輪規格のプールや3つのヨガスタジオが併設されている。
周辺で建設工事が急ピッチで進むこの「シャタック・セント・メアリーズ」スクールのキャンパスは、最終的には1000人規模の生徒を受け入れられるように設計されている。
中国・広州市で電気設備工事会社を経営するLiang Ri Shengさん(44)は、フォレストシティーが、自分の息子にとってインターナショナルな人生への入り口となり、中国の経済圏構想「一帯一路」の強みを生かせるようになってほしいと話した。
「息子には、東洋と西洋両方に触れる機会となる。息子の成長や発達にいいと思う」と、Liangさんはマハティール氏の発言前にロイターに話していた。
「休暇用の別荘として持ち続ける」
Liangさん一家は、9月までに新居への鍵を手にする予定の482世帯に含まれている。
やはりフォレストシティーに昨年、14万ドルでマンション1戸を購入したジャッキー・チェンさん(同名俳優とは無関係)は、開発計画を巡る最近の動きは予測していなかったと話す。
「買った時は、長期的値上がりを期待しており、こんな政策リスクがあるとは思わなかった。でもマレーシアの移民ビザが欲しいわけではないので影響はない。投資額も小さいし、休暇用の別荘としてこのまま持ち続ける」と、香港在住のチェンさんは話した。
(Fathin Ungku and Joseph Sipalan 翻訳:山口香子、編集:伊藤典子)
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