「62歳独身女性」が抱える不安原因は家族 老母と子を守るだけでは全員が破綻する

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C子さんは、これまでにも浪費のことで何度もお母さんとけんかしてきたので疲れてしまい、ここ数年は、見て見ぬふりをしてきたそうです。しかし、それがあだとなり、知らぬ間にお母さんの借金が膨らんでいました。

そもそも80歳の高齢者にリボ払いをすすめる店員もどうかと思いますが、そのしわ寄せは、結局子どもであるC子さんに降りかかってきます。

筆者のところにご相談に見えたのをきっかけに、お母さんと借金について向き合って話してみたところ、300万円ではなく500万円の借金がありました。結局、C子さんは、泣く泣く自分の貯蓄から借金の全額を返済。その代わり、お母さんの年金はすべてC子さんが管理することになりました。65歳を目前に500万円を失ってしまったC子さん。残り3年間で「失った500万円」を貯蓄するには、毎月約14万円貯蓄する必要があります。そこで、お母さんには月に5万円だけお小遣いを渡すことにして、お母さんがよく行くお店に連絡して事情を話し、もし商品を買うということになった際には、C子さんに連絡をしてもらうようにしました。

血縁関係があっても「極力自立させる」ことが大切

これでどうにかお母さんについての心配は減りましたが、もう1つ、問題はニートの娘さんです。娘さんのために、少しでもお金を残してあげたいと娘さん名義で死亡保険金には加入しているそうですが、お葬式代程度の保険金なので不安とのことでした。

C子さん曰(いわ)く、「もう娘も24歳なので、親が面倒みるのも違うのかもしれませんが、娘が小さい頃に離婚してしまい、彼女には迷惑をかけてしまったので、やれることはやってあげたいんです」とのことでした。

そこで、娘さん名義でつみたてNISA口座を開設することをアドバイスし、まずは「月2万円の積み立て」をすることにしました。筆者は娘さんにもお会いしましたが、とても素直な純粋な方でした。娘さんにも自立への一歩を踏み出してもらうべく、筆者のマネーセミナーへの参加を促したところ、前向きに検討してくれ、まずは参加までは行き着きました。現在は娘さん自身で考えて一歩一歩進んでいる最中です。

少しずつですが、C子さんの将来の不安は和らいでいるようです。とはいえ、これからの時代、自分の生活を維持するだけでも大変なのに、そこに母親に加えて、子どもの面倒も見なくてはならないとなると、負担は相当なものでしょう。血がつながっているからこそ難しい面もありますが、この連載でも何度も伝えているように、各自それぞれが経済的、精神的に自立することが大切なのだと改めて思います。

「誰かがやってくれる」ではなく「自分でどうにかする」。昔の日本と異なり、国や企業の力は弱まり、以前ほどは守ってくれなくなりました。昔は国や企業に依存していれば、どうにかなりましたが、現在は「依存」から「自立」の時代です。

一度しかない人生。自分と向き合い、お金と向き合い、自分の足で生きていくことが求められていると思います。

高山 一惠 ファイナンシャルプランナー(CFP)

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たかやま かずえ / Kazue Takayama

株式会社Money&You取締役。2005年に女性向けFPオフィス、株式会社エフピーウーマンを創業、10年間取締役を務め退任。その後、(株)Money&Youの取締役就任。女性のための、一生涯の「お金の相談パートナー」が見つかる場「FP Cafe」を運営。全国で講演活動、多くのメディアで執筆活動、相談業務を行い、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評。著書は『やってみたらこんなにおトク!税制優遇のおいしいいただき方』(きんざい)、『税金を減らしてお金持ちになるすごい!方法』(河出書房新社)、『パートナーに左右されない自分軸足マネープラン―ひとりでも生きていける力を身につけよう』(日本法令)など多数。

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