一人暮らしで動物飼う人の小さくないリスク 飼う前に知っておきたい3つのこと

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実際、以下のようなケースがありました。

長い闘病生活の末、病院で亡くなった杉岡道子(仮名)さん。ある日、彼女の親族から望月さんの会社に「故人の遺品整理をしてほしい」という依頼がありました。望月さんが故人の自宅で遺品整理を進めていると、部屋の片隅から白骨化した猫と思われる死骸が見つかりました。おそらく故人が入院してしまったため、誰も世話をする人がおらず、餓死してしまったようです。依頼主である親族は死骸が見つかって初めて、生前の杉岡さんが猫を飼っていた事実を知りました。

特殊清掃の現場(写真はイメージです。写真:Freee)

望月さんが同業者から聞いた話によると、そのほかにこんなケースもありました。故人の遺品整理に自宅に入ると、ベッドの上で犬がうずくまるようにして亡くなっていました。飼い主が突然入院してしまい、置き去りになっていたようです。

望月さんの「ベッドに飼い主のにおいが染み付いていたんでしょうね」という言葉に複雑な感情を抱きます。

単身者がペットを飼う前に知っておきたい3つのこと

上記のような悲しい事態を避けるためにも、単身者がペットを飼う前に知っておいたほうがいいことを3つ紹介します。

1:ネットワークカメラを活用する

留守中にペットが鳴いても、単身者の場合はそれを知ることができません。しかし、最近は市販の「ネットワークカメラ」を設置すれば、スマートフォンなどで留守中のペットの様子を見ることができます。鳴き声やいたずらなどの原因がわかり、その解決策を見つけられるかもしれません。

2:もしものときに備えていく

単身者の飼い主にもしものことがあった場合、何も備えがなければペットは路頭に迷うことになります。最悪の場合は、前述したケースのように痛ましい姿で餓死してしまうことも。ペットを飼うなら、入院したときの一時的な預け先や、万が一に備えて、「次の飼い主」を決めておくことも重要です。

また、日頃から財布などの貴重品に「ペットを飼っています。私になにかあれば、ここに連絡をしてください」といったメッセージを入れておくこともおすすめします。そのほかにも、ペットの性格や食べ物などの詳細情報を記入したノートを用意しておくと、もしものことがあったとき、次の飼い主の助けになります。

3:困ったときに相談できるペットの専門家を見つけておく

ペットのことでこんな問題が起きた際、単身者はひとりで悩んでしまいがちです。良い解決法を見つけるには、相談できる人を持つことが必須です。かかりつけの獣医師やブリーダーなどの専門家、またはペットを長く飼っている友人に相談することをおすすめします。

単身者がペットを飼うことにはさまざまなリスクがあります。そのため、単身者がペットを飼うことに対して否定的な意見も多く聞かれます。しかしながら、上記のようにリスクを回避する努力や備えをすることで、単身者もペットも共に幸せな時間を過ごすことができると筆者は考えます。

ペットを飼うためには、「終生飼養」の言葉の意味である「飼育している動物が、その寿命を迎えるまで適切に飼育すること」をしっかりと理解し、飼い主の事情でペットが不幸な道をたどらないよう責任と覚悟をもったうえで飼うことが重要でしょう。

阪根 美果 ペットジャーナリスト

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さかね みか / Mika Sakane

世界最大の猫種である「メインクーン」のトップブリーダーでもあり、犬・猫などに関する幅広い知識を持つ。家庭動物管理士・ペット災害危機管理士・動物介護士・動物介護ホーム施設責任者・Pet Saver(ペットの救急隊員)。ペットシッターや保護活動にも長く携わっている。ペット専門サイト「ペトハピ」でペットの「終活」をいち早く紹介。豪華客船「飛鳥」や「ぱしふぃっくびいなす」の乗組員を務めた経験を生かし、大型客船の魅力を紹介する「クルーズライター」としての顔も持つ。

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