アメリカ「北朝鮮戦略」のヤバすぎる混乱状態 ポンペオ国務長官の訪朝は直前で取り消し

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交渉チームにはポンペオ長官再訪朝の際、北朝鮮政府に対して「宣言のための宣言」の妥協案を提案する用意があった。この協定は北朝鮮の核施設に関する宣言と引き換えに、アメリカが戦争終結の「政治的宣言」を提示するというものだった。

「この宣言は戦争が終結したという客観的事実の声明にすぎず、平和条約の代わりにはならない」とある高官は話す。アメリカ国務省はこの交渉を推しているが、国防総省は米韓の安全保障関係を損ないかねない、との懸念を示している。

双方とも、交渉プロセスに懸念を抱いているのはかわりないが、「トランプ大統領が何をするにせよ、するということに変わりはない」と、ブッシュ政権時の高官で、現政権とも緊密に連絡を取り合っている人物は語る。

北朝鮮はトランプと話がしたい

だが、トランプ大統領がポンペオ長官の訪朝を取り消すほんの数時間前に、あるアメリカの高官は、北朝鮮はこの「宣言のための宣言」の協定を拒否するだろうと予測していた。北朝鮮が望むものは、トランプ大統領と金委員長の2回目の首脳会談で得られると考えているからだ。ポンペオ長官との会談は必要ないのである。

この高官よると、「トランプ大統領と会談を重ねるごとに、(北朝鮮にとっての)『成功』の確率が加速度的に高まっていく」と北朝鮮は考えているのだ。

こうした中、国家安全保障局内では韓国との関係に対しても警戒感が高まっている。文大統領と文政権は、表面的には引き続きアメリカの外交政策を支持しており、北朝鮮政府へのメッセージを強めている。しかし韓国政府は、核問題は基本的にアメリカと北朝鮮間の問題としており、南北朝鮮間の協定を核問題の進展から切り離すことを望むなど、事態は変わり始めている。

「韓国については大きな問題に直面している」と、北朝鮮との首脳会談に参加したある高官は話す。「韓国はすでに考えていた『目標』に達している。これ以上、アメリカと協調して行動する必要性を感じていない」。

文大統領は来月、北朝鮮訪問を予定している。同大統領は先般の演説でそのあらましを述べたように、韓国から北朝鮮を経由してロシア、中国へと至る鉄道やパイプラインのような計画の推進に熱心だが、一部のアメリカ当局者は、韓国が計画を推進した場合、韓国に対し制裁措置をとる用意があると警告している。

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